朝日新聞記事視点・解説2026年5月1日 20時42分水俣支局長・今村建二水俣病犠牲者慰霊式で献花する胎児性水俣病患者ら=2026年5月1日午後1時48分、熊本県水俣市、日吉健吾撮影 1994年春まで熊本の大学に通った。水俣病の専門家の講義も聴いたが、問題の一端をかじっただけだった。未認定の患者に一時金などを払う95年の政治解決で「水俣病は終わった」と思った。関心は遠のいた。 ところがその後も、この問題の大きな判決が出たり、第2の政治解決があったり。少しも終わっていない。知らなければと思った。 希望して4年前に現地に赴任すると、机上で得た「知識」との違いに気づいた。 水俣病はもだえ苦しむ劇症患者の印象が強い。一方、現場で会う被害者は、一見すると健康な人と変わらない。 問題ないのでは? そうではなかった。手足の痛みや耳鳴り、やけどにも気づかない感覚の鈍さ。周囲に気づいてもらえず、何十年も苦しんでいる。悲しみは深い。 「夜中に針でさすような痛みで寝不足。トイレに這(は)って行く」 「足のこむら返りで毎日苦しい。ゆっくりねむりたい」 「味が感じにくいので(食事を)美味(おい)しく作ってあげられないのがもどかしい」 公式確認70年にあわせ、朝日新聞社、熊本朝日放送、鹿児島放送、熊本学園大学水俣学研究センターの4者で行った共同のアンケートにも、悲痛な叫びが寄せられた。 その痛みに、国は気づいているのだろうか。 「最終解決」をうたった第2の政治解決で「やれることはやった」との空気を取材で感じた。 環境相との懇談で、被害者の訴えを環境省職員が遮った2年前の「マイク切り」問題は、非礼もさることながら、寄り添わない姿勢が非難の的となった。省は反省の言葉を繰り返した。 だが今年の懇談でも、被害者側が長年訴える患者認定の見直しなどには「ゼロ回答」。「だれも実態を見ようとしない。被害者の家をもっと訪ねてくださいよ」という声が上がった。 知らないと、気づけない。まだ、すくいきれていない声がある。実態を調べ、向き合わないと、被害者はいつまでも苦しみ続ける。70年は長すぎる。この記事を書いた人今村建二水俣支局長|水俣病・環境担当専門・関心分野地方政治、環境関連トピック・ジャンル関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ5月1日 (金)性的暴行訴えた検事が辞職へ水俣病の公式確認から70年2027年問題で値上がり?4月30日 (木)「出光丸」初のホルムズ通過4月のクマ目撃、秋田で急増チャイルドシートどうする?4月29日 (水)日銀が利上げ見送りりくりゅうが引退会見「まんじゅうや」は無効票4月28日 (火)NPT再検討会議 はじまる後発地震注意情報は終了バスや水道に中東情勢の影トップニューストップページへ【詳報】水俣病、70年の祈り「伝えていく」 解決へ「闘っていく」19:47死亡推定の午前4時に途切れた通話、来なかった返信 大阪の母娘殺害19:51ロシアと中国、非核三原則で日本批判 「批判する立場にない」と反論19:05服部慎一郎七段が藤井聡太棋聖に挑戦 羽生善治九段に大逆転勝利20:08「断熱材足りず」不安が不安呼ぶ 年越えてナフサ供給、と言われても16:30「プラダを着た悪魔2」炎上の理不尽 報じる前に作品は見ましたか9:30