2025.08.30咲村珠樹(ライター・カメラマン)tags: C-130「ハーキュリーズ」, アメリカ軍, ミリタリー, 空母, 航空, 船, 艦艇(軍艦), 軍用機いまから60年ほど前の1960年代前半、米海軍は遠洋にいる空母への物資輸送用に4発輸送機を使うことができないか試験したことがあります。結果は良好、しかし採用しませんでした。なぜなのでしょうか。 空母での運用を前提としていない大型の陸上機が空母で使われたハナシといえば、第二次世界大戦でアメリカが日本本土を初空襲した、いわゆる「ドゥーリトル(ドーリットル)空襲」での、B-25「ミッチェル」爆撃機が有名でしょう。拡大画像海軍航空博物館で展示される機体ナンバー149798のKC-130F。同機が空母「フォレスタル」に発着艦した輸送機である(画像:アメリカ海軍)。日本近海まで来た空母「ホーネット」から、アメリカ陸軍航空軍所属のB-25双発爆撃機16機が発艦し、東京や横浜、名古屋、神戸などを爆撃したのち、そのほとんどが中国大陸奥地の飛行場に着陸しています。 しかし、あれが唯一、そして最大の記録かというと、そうではありません。空母に発着した飛行機のなかで最大なのは、自衛隊でも運用している世界のベストセラー輸送機、C-130「ハーキュリーズ」です。 この記録が誕生したのは、ベトナム戦争にアメリカが本格的に介入しようとする前夜、1963年のこと。当時アメリカ海軍では、洋上に展開した空母に対して補給を実施する輸送機として、双発のC-1「トレーダー」輸送機を用いていました。同機はS-2「トラッカー」艦上対潜哨戒機の派生型として生まれた艦上運用が可能な輸送機で、1956年より運用を開始しています。ただ、機体サイズの制約上、貨物の搭載量は1.6tほど、航続距離も1800km弱で、拡大する空母の活動範囲からすると物足りないものでした。 より長い航続距離と、十分な積載能力を持つ輸送機を検討するなか、白羽の矢が立ったのが、空軍で運用されていたC-130でした。そこで、メリーランド州パタクセントリバーにある海軍航空試験センターは、海兵隊から空中給油機仕様のKC-130F(機体ナンバー:149798)を借り受け、10月より空母運用の可能性を探る試験をスタートさせます。 試験用として一時的に借り受けた機体ですから、機体構造を変更するような大改造はできません。このため着艦フックの装着や、カタパルト発艦に対応した機体の構造強化は見送られ、ブレーキを強化した以外はほぼ原形のままでした。【次ページ】着艦フックなくても距離80mあまりで停止【4発機デケェ!!】空母から飛び立つKC-130Fをいろんなアングルから(写真)