陸上自衛隊健軍駐屯地=熊本市東区で2025年8月27日午後2時21分、野呂賢治撮影 防衛省が29日、有事の際の「反撃能力」(敵基地攻撃能力)となる長射程ミサイルを熊本市東区の健軍駐屯地に配備する計画を明らかにした。九州防衛局から説明を受けた熊本県の木村敬知事と熊本市の大西一史市長、防衛局の伊藤和己局長がそれぞれ報道陣の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。【野呂賢治、中村敦茂】木村敬・熊本県知事 ――説明の受け止めは。 ◆住民への丁寧な説明、情報提供をしていくと(伊藤局長)は言っていた。しっかり実行されるようお願いしたい。Advertisement ――地下避難施設が不十分という声もある。長射程ミサイル配備について九州防衛局から説明を受けた後、報道陣の取材に応じる木村敬知事=熊本市中央区の熊本県庁で2025年8月29日午後4時23分、中村敦茂撮影 ◆県内の地下避難所が少ないという事情はあり、県庁内でも対象を増やしていくべきという議論は確かしていたと思う。例えば県庁の地下大会議室を避難所にできるかなどだ。市町村などとも相談しながら、なるべく避難できる施設を増やしていくことが、県民の安全安心につながっていく。 ――伊藤局長は「配備先から必要な場所に移動して任務に当たる」と説明していた。 ◆駐屯地でそのまま運用されるわけではないということが地域の安心につながるのであれば、しっかりと県民に伝わるといい。 ――配備自体の是非は。 ◆国の専管事項で述べる立場にない。賛成でもなければ反対でもない。 ――事実上の受け入れではないか。 ◆受け入れの是非は県知事や自治体に求められているものではないと思う。国の中で、だいぶ議論して(敵基地攻撃能力を盛り込んだ)安保3文書が決まった。県知事として賛成も反対も述べることはない。大西一史・熊本市長 ――説明への受け止めは。 ◆運用や訓練に当たり市民に影響がないことや、安全性についても問題ない運用をすると明言していただいた。そのことを市民に丁寧に分かりやすく説明する必要がある。防衛省側からの説明後、記者からの質問に答える大西一史市長=熊本市中央区の市役所で2025年8月29日午後5時28分、野呂賢治撮影 国の防衛政策について権限は熊本市にないが、市民の安全、不安の解消に大きな責任がある。防衛省にはきちんと窓口を設置し、問い合わせや不安の声、疑問点にきちっと答えていただけるようにと提案させていただいた。持ち帰って検討するとのことだったので、真摯(しんし)に対応してもらいたい。 ――配備が決まった段階での説明については。 ◆なぜミサイルを配備しなければならない状況なのかを、いきなり配備しますではなく、よりみなさんの安全安心が守られるという説明が事前にきちんとあって、その上で配備が発表されるのが一番安心感につながる。 ――今のは苦言を呈したということか。 ◆苦言を呈したというか、唐突感がないようにしてもらわないと必要以上に不安になる。 ――今回の配備については容認か。 ◆防衛政策の決定権はないので、その点についてお答えする立場にない。ただ、市民のみなさまの不安を払拭するための説明を求めた。今までと負担が変わらない、あるいは運用訓練の中で危機が及ばないということを約束してもらったと理解した。伊藤和己・九州防衛局長 ――広く市民に説明する場を設けてほしいという要望もあったが具体的な計画は。熊本市への説明後に報道陣からの質問に答える伊藤和己・九州防衛局長(左)=熊本市中央区の熊本市役所で2025年8月29日午後5時44分、野呂賢治撮影 ◆きょう知事や市長からいろいろな意見・要望を受けた。基本的には丁寧な説明を住民に対して心がけていきたいが、具体的な方法などは持ち帰り、県、市と相談しながら適切に対応していきたい。 ――住民は有事の際に他国からの攻撃の対象になるのではないかと心配している。 ◆スタンドオフ防衛能力を獲得することで、より遠方で早期に、我が国に侵攻してくる艦艇や上陸部隊へ対応が可能になる。そういった能力を持つことで相手国から、我が国に対し侵攻しようとする思いをとどまらせる抑止能力が強化される。 ――(敵が)有事の際は真っ先に反撃能力を排除したいと考えるリスクは。 ◆健軍駐屯地に配備して、一般論として、その部隊が状況に応じて必要な場所に展開して任務に当たる。平素の配備先にとどまって対応し続けるものでもないので、その辺りも住民の方に丁寧に説明していきたい。 ――南西の防衛に向けて位置関係的に熊本は重要なポジションにあるのか。 ◆健軍に今回のミサイルが配備されるのは、南西の防衛が喫緊の課題であり、既にあるミサイル連隊の訓練環境、整備基盤など総合的に検討した結果と思ってもらえれば。