2025.11.03深川孝行tags: 海外, 鉄道路線ベトナム初の地下鉄「メトロ1号線(サイゴン線)」がホーチミン市で開業してから間もなく1年。日本の全面支援で完成した地下鉄は、いまや地元の人々にとって憧れの「映えスポット」となっています。 ベトナム初の地下鉄「メトロ1号線(サイゴン線)」が、2024年12月22日に、同国最大の都市・ホーチミン市で開業しました。この快挙にホーチミンっ子も鼻高々のようで、もうすぐ1周年を迎えますが、まだまだ開業フィーバーが続いています。拡大画像ホーチミン市を走るメトロ1号線(深川孝行撮影) 地下鉄建設の最大の狙いは、市内の交通渋滞解消です。ホーチミン市の人口は約950万人(2024年)で、周辺の衛星都市も含めた都市圏は1400万人(同)に達し、東京都とほぼ同じです。ベトナムの高度成長にしたがい、この都市圏も数十年間で急膨張しました。 ところが、市内の交通機関の整備が人口増に追い付いていないのが実状で、激しい交通渋滞に悩まされています。 人口が東京都とほぼ同じにもかかわらず、市内を走る鉄道は、都心のサイゴン駅に通じるベトナム鉄道(公社)の線路が1本だけでした。しかも中長距離用の「列車」路線で、駅も市内に数か所しかありません。そのため渋滞による経済的損失はもちろん、交通事故や大気汚染、騒音などマイナス面の増加は、市民にとっても深刻です。 これらを解決する“特効薬”として、2000年代初めに、市中を網の目のようにカバーする一大鉄道路線網が構想されました。地下鉄(メトロ)8路線を中心に、路面電車(ライトレール)2路線、モノレール1路線からなり、その第1段がメトロ1号線です。 1号線は、都心のベンタイン駅と、車両基地がある北東部のスオイティエン駅(トゥドゥック市)とを結ぶ、全長約19.7km、14駅の路線です。ただしこのうち地下鉄部分は、都心の約2.6km・3駅だけで、残りは全部高架です。【次ページ】車両は日立、訓練は東京メトロの「オール・ジャパン」【どこか日本風】「映えスポット化」しているメトロ1号線(写真)