映画の推し事:ロヒンギャと日本をつなぐ「連帯」の旅 死地を行く姉弟の「ロストランド」

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映画の推し事毎日新聞 2026/4/23 22:00(最終更新 4/23 22:00) 2269文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷「LOST LAND ロストランド」©2025 E.x.N K.K. 藤元明緒監督は新作「LOST LAND/ロストランド」で、ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの幼い姉弟を日本に“連れてきた”。国籍のない彼らが、実際に日本に来ることはあり得ない。 「映画だけが、できるんです」。藤元監督は映画の力で、ロヒンギャと日本を結びつけようとする。近所の子どものように感じてほしい 藤元監督は「僕の帰る場所」でミャンマー人、「海辺の彼女たち」ではベトナム人と、日本にいるアジアの人々の厳しい現実を描いてきた。「ロストランド」では、バングラデシュの難民キャンプからマレーシアを目指す幼い姉弟の、困難な旅を追いかける。Advertisement「LOST LAND/ロストランド」について語る藤元明緒監督=2026年4月2日午後4時59分、勝田友巳撮影 ロヒンギャの武装組織は民主政権下でも政府と対立し、約100万人が難民キャンプに逃れたとされる。キャンプの環境も過酷で、自由を求めてマレーシアなどへの密入国を目指す人々が大勢いるという。 映画は、ブローカーの手引きで親戚と共にマレーシアを目指す、幼い姉弟が主人公だ。9歳と5歳の姉弟をはじめ、演じるのはロヒンギャの人たち。全編、舞台は海外で日本人は登場せず、セリフに日本語はない。ロヒンギャへの弾圧を示す場面もほとんどない。それでも映画を見終わると、姉弟が他人とは思えなくなる。 「それなら、願った通り」と藤元監督は言う。「出演したロヒンギャの人たち、特に子どもたちと、関係性を作って映画を見終わってほしかった。背景や歴史よりも、彼らとどう結びつくかが大事。姉弟と仲良くなるとか、近所の子のように感じるとか、身近な存在にしたかった」つながりたいという思いが強かった そうした思いの背景には、ロヒンギャの人々への贖罪(しょくざい)の気持ちがあったという。これまでの作品でアジアと深く関わり、2021年のミャンマーの軍事クーデターに際しては、弾圧された映画人らへの支援活動にも関わった。「LOST LAND ロストランド」©2025 E.x.N K.K. 一方この間、ロヒンギャの苦境を知りながら、ミャンマーではタブーとされる状況の中で、声を上げてこなかったという。 「映画作りを通して、多くの人と出会い、彼らを身近なこととして描いてきた。それなのに、ロヒンギャの人たちとは関係性を作ることをやめてしまった」。命の選別をしていたとの後悔が、映画作りにつながった。「万が一完成しなかったとしても、製作の過程でコミュニケーションがあり、友情が残る。モチベーションとしては強かったですね、つながりたいという思いが」 前作までと同様、苦境にある人々が自由を求めて旅立つという物語でも、描き方は変わった。「映画的な余白は、あえてつぶした」と明かす。「LOST LAND ロストランド」©2025 E.x.N K.K. これまでの作品では、登場人物から距離を置き、淡々と傍観者的に描写することで、観客の想像力に働きかけた。今回も、姉弟の旅は死と隣り合わせだ。しかしカメラは幼い姉弟に寄り添い、無邪気に遊ぶ笑顔など叙情的な場面も加えられている。海外の映画祭での上映で、「描写が甘い」との指摘もあったというが、「子どもたちの本来の輝きを、観客に持ち帰ってほしかった」と話す。 「実際には、もっとグロテスクだったり汚れていたりしたかもしれない。でも物語の特権として、観客の感情を導いた。それが彼らの尊厳を伝えることにもなる」多くの出会いが命をつなぐ ロヒンギャの人々を、1年にわたって取材した。姉弟は、小さな船での密航に始まり、無条件に手を貸し助けるタイの人たち、暴力的で非情なブローカーら、多くの人々の手を経て旅を続ける。「LOST LAND ロストランド」©2025 E.x.N K.K. 映画に描かれたのは多くのロヒンギャがたどった道筋で、彼らの遭遇した出来事を脚本に盛り込んだ。浮かんできたテーマの一つは「連帯」だ。 「姉弟は多くの人の手によって運ばれる。打算や理由のない親切や、暴力によっても。ロヒンギャの人たちの話を聞く中で、血のつながりを超えて未来に命をつないでいたことが、すごく印象的だった」「LOST LAND/ロストランド」について語る藤元明緒監督=2026年4月2日午後4時59分、勝田友巳撮影 そしてこれこそ、遠いロヒンギャと日本を結びつける。 「その連帯には、日本人も参加可能です。姉弟がマレーシアに行く旅ともう一つ、観客に向かう旅もあった。遠い国から自分たちの生活空間にやってくるような、出会いの映画になるんじゃないか」映画の力をいい方に使いたい 藤元監督は、元々アジアに強い関心があったわけではない。映画を作り始めた頃はミャンマーがどこにあるかも知らなかったという。公募企画のために脚本を書き、在日ミャンマー人と出会い、映画作りを通して深く関わるようになった。その上で感じている。「LOST LAND ロストランド」©2025 E.x.N K.K. 「人間は本来つながれる。ロヒンギャの人たちも、僕にとっては近くの練馬区民と変わらない。違うのは、彼らを取り巻く社会や制度だけ。同じ人間なのに、置かれた状況は明らかにおかしい。国籍がないといった隔たり、違いのせいで、人間同士の結びつきもなくなる。それにはもう、憤りしかない」 映画は時に、人を動かす。「海辺の彼女たち」の上映後、外国人を雇用する経営者が、わざわざ「迷惑だ」と文句を言いに来た。フランスで「ロストランド」を見終わった直後に、支援団体への寄付を申し出た観客がいた。「LOST LAND ロストランド」©2025 E.x.N K.K. 「映画が人の行動や選択を変える力を持つのなら、やっぱりいい方に使いたい。社会的な行動につながるのも、映画の魅力の一つ。この映画でも、ロヒンギャを知ってもらうだけでも、報道や情報にアクセスしてもらってもいい。支援団体もたくさんある。もちろん、純粋に映画として楽しんでもらってもいい。映画の力は多様ですね」 第82回ベネチア国際映画祭で、斬新な作品を集めた「オリゾンティ部門」に出品され、審査員特別賞を受賞している。【勝田友巳】【時系列で見る】【前の記事】死亡説、大麻、逮捕… 赤裸々すぎるポール・マッカートニー実録関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る1時間24時間SNSスポニチのアクセスランキング1時間24時間1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>