ロッテの「ビックリマンチョコ」の最新作で西日本先行発売する「浮世絵ビックリマンチョコ」=梅田麻衣子撮影 シール交換が子どもたちの間でブームになっている。 ぷっくりつややかなものや、プニッとした感触のものなど、多種多様なシールは、見ていて飽きない。 昭和・平成世代にとって外せないシールといえば、ロッテ(東京都新宿区)の「ビックリマンチョコ」のおまけだろう。 小学校時代、同級生の男子が、夢中になって集めていたっけ。シールには詳しくないけれど、男子からもらった中身のお菓子はおいしかったな……。Advertisement 令和のシールブームともいわれる今、「ビックリマンチョコ」に迫ってみよう。おまけのシールをコレクション まずは「ビックリマンチョコ」のシールを見てみたい。 大阪市西成区の駄菓子屋さん「ナカオヤ」の2階には、なつかしいおもちゃや雑誌などを展示している「社長室」がある。 「ビックリマンチョコ」のシールも飾ってあり、同級生の男子の憧れだった、キラキラのシールも多数発見! 「ナカオヤ」の中尾裕哉さんが見せてくれたファイルにも、コレクションがずらり。キャラクターのビジュアルや設定が一枚一枚凝っていて、面白い。これは集めたくなるなあ。 「ビックリマンチョコ」の誕生は1977年。当時まだ珍しかったウエハースと、チョコレートのハーモニーが楽しめるお菓子で、おまけにつけたのがシールだった。 人を「ビックリ」させることをコンセプトにしており、インクがこぼれているように見えたり、動物の足跡が描かれていたりする「どっきりシール」を、お菓子に同封した。「悪魔VS天使」で人気↑ さまざまなシリーズを展開したが、売り上げは苦戦。起死回生の一手にと、85年に生み出したのが「悪魔VS天使」シリーズだ。1985年に発売された「ビックリマンチョコ」の悪魔VS天使シリーズ=ロッテ提供©LOTTE/ビックリマンプロジェクト 子どもたちからも意見を聞き、1枚ごとの楽しさにこだわっただけでなく、キャラクター同士の関係性やストーリー性にも気を配った。 シールは「悪魔」「天使」「お守り」の3種に大別され、じゃんけんのように、それぞれに勝てる相手が決まっている。 張ったシールの上に、別の強いシールを重ねて張る遊び方を推奨していたが、「もったいなくて、その遊び方は広がりませんでした」とロッテマーケティング本部の小田克久さんは笑う。 子どもたちはシールそのものに夢中になり、自分で買うだけでなく、友達との交換も楽しんだ。 裏面にはキャラクターの特徴などが書かれており、当時はやり始めていたロールプレーイングゲーム(RPG)のように、キャラクター同士が戦うことでストーリーが進んでいく。 特に人気を集めたのが「ヘッド」や「レア」などと呼ばれたキラキラのシール。「スーパーゼウス」や「シャーマンカーン」「スーパーデビル」などとの出合いを夢見て、子どもたちはお菓子を買い続けた。 人気をさらに加速させたのは、小学生向け漫画雑誌での連載だった。お菓子発のメディアミックスの先駆けですね。 80年代後半には、年4億個を販売するほどのブームに。1人あたりの購入量に制限をもうける店も珍しくなかった。お菓子メーカーの垣根を越えて駄菓子屋さん「ナカオヤ」の2階の「社長室」で見せてもらった「ビックリマンチョコ」のシール=大阪市西成区で2026年3月31日、水津聡子撮影 悪魔VS天使シリーズは、第36弾まで続いており、「外伝」などにも派生した。シールは累計で1500種類以上。ポーズ違いなどを含めるとさらに多くなる。 さまざまな人気キャラクターを生み出していて、2019年に実施された「天使だらけのヘッド総選挙」では「ヘッドロココ」、「悪魔だらけのヘッド総選挙」では「ブラックゼウス」が、それぞれ1位になっている。 幅広いコラボ商品でも、注目を集める。 「北斗の拳」「鬼滅の刃」といった人気アニメの場合もあれば、芸人やアイドル、ユーチューバーと組むことも。 「ビックリマンプロ野球チョコ」は、カルビー(東京都千代田区)の「プロ野球チップス」とまさかのコラボ。お菓子メーカーの垣根を越えた。 「ヤマト王子」や「十字架天使」がプレーヤーとして登場するほか、元プロ野球ロッテマリーンズの里崎智也さんなど、実在の選手のシールもある。 ん、元サッカー日本代表の中沢佑二さんの始球式のカードもあるぞ。 「プロ野球チップス」と「ビックリマンチョコ」のコラボに元サッカー選手が登場し、野球のボールを投げる……懐の深さ、びっくりします。チョコは専用の配合「ビックリマンチョコ」の中には、チョコレートを挟んだウエハースのお菓子とシールが入っている=梅田麻衣子撮影 ロッテは、4月1日を「ビックリマンの日」として、日本記念日協会に登録している。 小田さんは「4月1日は、エープリルフール。ひとを『ビックリ』させることにこだわった記念日として『ビックリマンの日』に制定しました」と話す。 今年は同日に「浮世絵ビックリマンチョコ」の発売を発表。西日本先行で21日から店頭に並んでいる。キャラクターが、浮世絵風に描かれていてカッコイイ。 お菓子は、香ばしく焼き上げたウエハースが、チョコレートとよく合う。そうそう、昔と変わっていませんか? 「以前はピーナツが入っていました」。やっぱり! アレルギーに配慮して、10年ごろから、クッキークランチに変更した。 「チョコレートは『ビックリマン』専用の、少し甘い配合なんですよ」と小田さん。シールもお菓子も、こだわりが詰まっているんですね。地方創生も 近年はお菓子の枠を飛び出した活躍を見せている。 20年には、新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)で催された、オリジナルシールがもらえるスタンプラリーに登場。新型コロナウイルス禍で苦戦していた水族館に多くの人が足を運ぶきっかけを作った。 23年には「ビックリマン地方創生プロジェクト」を開始。 製造工場がある滋賀県近江八幡市と周辺自治体でスタンプラリーを実施したり、鳥取県境港市で水木しげるさんの人気漫画「ゲゲゲの鬼太郎」とコラボしたシールをプレゼントして市内での買い物を促進したり。 地域活性化に一役買っている。 小田さんは「『ビックリマン』には人を驚かせ、熱狂を生み出す力があると思っています。これからも日本や世界に、驚きや楽しさ、元気を届けていきたいです」と夢を語る。 48ミリ四方のシールとお菓子に詰め込まれた楽しい驚きは、人の縁を張り合わせ、重ねていく。【水津聡子】社名の由来は文豪・ゲーテの名作ロッテの「いちごつみ」=大阪市北区で、梅田麻衣子撮影 ロッテは1948年、ガムメーカーとして創業。社名はドイツの文豪・ゲーテの「若きウェルテルの悩み」のヒロイン「シャルロッテ」に由来する。 チョコレートやキャンディー、アイスクリームなど、さまざまなお菓子を手がけており、「クールミントガム」「コアラのマーチ」「雪見だいふく」など、長年愛される商品も多い。 そういえば、「ビックリマンチョコ」の「コア楽天使」のシールは、「コアラのマーチ」のキャラクターと似ているような……。 子ども向けの「キシリトールガム噛(か)むトレ ビリビリサイコソーダ」は、かみ応えのある食感で、おいしく食べながらよくかむ習慣も身に付けられる。 駄菓子屋さんでおなじみ、77年発売の「いちごつみ」も、実はロッテ商品。イチゴをかたどった棒付きチョコレート3本が根元でくっついており、1本ずつ分けて食べられる。 きれいな形を保ちながらしっかり棒にくっつけているため、生産には手間がかかるそう。かわいさと気配りとおいしさ、3本そろってハートに刺さります。