消火したはずの山から再び煙 果てしない「もぐらたたき」に住民疲弊

Wait 5 sec.

朝日新聞記事現場から2026年4月26日 16時30分東野真和 原晟也自前のタンクや消火器具を使って煙の出る場所を消そうとする住民=2026年4月26日午後0時25分、岩手県大槌町吉里吉里、東野真和撮影 岩手県大槌町の山林火災は発生から5日目を迎えた。陸と空からの消火で延焼のスピードを抑えている一方で、消したはずの場所から再び煙が上がる。果てしない「もぐらたたき」に、住民らは疲れをためている。 「えっ。また火が出た」。26日正午過ぎ、大槌町吉里吉里の養殖漁師・芳賀光さん(51)の携帯電話に連絡が来た。 火災前に収穫したワカメを塩蔵して裂き、加工を終えないと漁協への出荷期限に間に合わないが避難や消火作業で手が足りない。記者がそんな取材をしている時の電話だった。 芳賀さんは、仕事の手をとめ、急いで作業小屋から軽トラックで飛び出した。 水の入ったポリタンクや背負い型の消火器具を積み、山道を5分ほど上る。着いたのは、火災が起きた22日の夜、燃え方がひどかった福祉施設の裏手だった。 当日、私(東野)が取材した場所だ。徹夜で消防が放水し、消し止められたはずだった。黒こげになった一帯の山の地表には黒い灰が積もり、あちこちから無数の煙が噴き出していた。22日夜に激しく燃えた福祉施設近くの山林。その後消し止められたはずだった=2026年4月22日午後9時40分、岩手県大槌町吉里吉里、東野真和撮影 「ここだ」。先に消火作業を始めた住民に誘導されて、芳賀さんは散水を始めた。 1人が農作業用のくわで灰を掘りおこし、芳賀さんと別の1人が水を注ぎ込む。 22日にあれほど放水したのに、地表はすでに乾いている。だんだん風が強まり、煙の箇所も増えてきている。 住民たちによると、こうした「もぐらたたき」のような作業が5日間ずっと続いているという。付近の風は舞っていて、向きが変わるたびに再燃する場所が変わる。もぐらたたきのように、煙が立つ場所を消し止める住民ら=2026年4月26日午後0時19分、岩手県大槌町吉里吉里、東野真和撮影 「消防を待っていられない」。県内の民間企業から無償で貸し出してもらった10トン給水車がフル稼働して、消火にあたっている。 住民たちは「えらいことになった。これでは気が休まらない」と疲れた様子で話した。福祉施設(奥)の裏の焼けた山。残った木の下に積もった灰の中でくすぶっていた火が煙をあげていた=2026年4月26日午後0時24分、岩手県大槌町吉里吉里、東野真和撮影 消防団員の石井一嘉さん(43)は「山火事の難しさは、見えないところに火種があること」と言う。 山林には、松の葉などが10~15センチほど積もっている。表面は燃えているように見えなくても、下の方がグツグツと燃えていることが多い。 葉っぱを掘り返して確認しないとわからず、風が吹くと一気に燃えるため、消火が難しい。 昨年の大船渡の火災を受けて、今年に入って山火事を想定した訓練をした。消防団のホースは40メートルを二つ分しか伸ばせないため、今回の現場のような、山の奥の方には届かないという。この記事を書いた人東野真和釜石支局長|震災復興・地方自治担当専門・関心分野震災復興、防災、地方自治、水産業原晟也ネットワーク報道本部専門・関心分野スポーツ、教育関連トピック・ジャンル関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ4月26日 (日)資本金の壁 料理店に影響JR宝塚線脱線から21年子ども用いすの著作権認めず4月25日 (土)新型AIは「今そこにある危機」性暴力の教職員 懲戒免職に接続遮断 将来の導入否定せず4月24日 (金)国家情報会議の法案 衆院通過日経平均 一時初の6万円台岩手県大槌町で山林火災4月23日 (木)認知症の行方不明者 年々増加柚木麻子さんが出版権を移動首都高の清掃めぐり官製談合トップニューストップページへトランプ氏参加の夕食会で発砲 31歳男、複数の銃持ち検査場へ突進15:30代替調達した米国産原油、日本に到着 中東情勢の悪化後初めて11:56消火したはずの山から再び煙 果てしない「もぐらたたき」に住民疲弊16:30竹下景子さん、水俣の一枚に衝撃 「私は今まで何をしてきたのか」15:00ハマスに捕まり、幅80cmのトンネル生活 元人質支えた脳内アニメ14:00野球引退、月収16万円の介護職から社長への道「僕でいいんですか」11:00