AI活用進む就活現場 学生、企業とも「リアル交流」を重視するわけ

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就職活動の現場でも生成AIの活用が広がっている(写真はイメージ)=ゲッティ 2027年新卒学生の就職活動が3月から本格化する。就活支援会社「i-plug(アイプラグ)」が行ったアンケート調査によると、学生の75・8%が就活に生成AI(人工知能)を活用しており、採用する企業側も急拡大する生成AIを用いた就活への対応を迫られることになりそうだ。 ただ、AIを駆使して万全な態勢で就活に臨んでいる学生も、リアルな交流を重視する流れになっているという。どういうことだろうか。Advertisement「今の時代、仕方ない」 アイプラグは運営する新卒オファー型就活サービス「オファーボックス」の利用者を対象にインターネットでアンケート調査を実施。27年卒業予定の大学生と大学院生計512人と新卒採用予定の企業計312社から回答を得た。 就活に生成AIを活用していると回答した学生は2年間で1・6倍に増加していた。 複数回答で尋ねた生成AIの用途では、「エントリーシートや履歴書の添削」(79・9%)が最も多く、「自己分析」(59・4%)、「メール作成」(52・8%)と続く。「エントリーシートや履歴書の作成」も42・0%いた。 では企業側はというと、採用活動で生成AIを使っていると答えた企業は半数を超える54・8%だった。用途は「自社のPR文作成」(69・6%)が最も多く、「学生へのオファー文作成」(69・0%)がほぼ並んだ。 AIを活用するのは、どうやらお互い様のようだが、互いを評価する目は異なるようだ。 企業が学生へのオファー文の作成に生成AIを使用することに対し、学生の50・2%が「良い」、27・5%が「とても良い」と答えた。 一方、企業側は、学生がエントリーシートや履歴書の作成に生成AIを使うことに対し、41・9%が「良いか良くないかどちらとも言えない」、36・6%が「まあ良い」、10・2%が「あまり良くない」と回答するなど、判断しかねている様子がうかがえた。 理由を見てみると、肯定派からは「今の時代、仕方ない」「効率的に仕事をすることも能力の一つ」といった意見があったのに対し、否定派からは「自分の言葉で自身を表現してほしい」「考える力や応用力が養えない」などの声が上がった。選考は書類より直接対話にシフト エントリーシートや履歴書の提出を求めている企業に、生成AIの使用の有無を見極める対策をしているか尋ねたところ、「している」と答えたのはわずか2・8%だった。 AIの普及が及ぼす影響についてアイプラグの中野智哉社長は「エントリーシートなどの表現スキルの差がなくなるため、選考は書類より直接の対話で学生の個性を深く知る方向へのシフトが求められる」と推測する。 一方、企業側に対しても、AIを活用して自社を過剰によく見せるような「粉飾」は「ミスマッチを生みかねない」と注意を促す。 等身大の情報開示や本心からのオファー文の作成など、企業側も誠実な姿勢と運用がより重要になると指摘する。リアル情報は学生の「戦略的価値」 就活でのAIの活用が広がる一方で、企業が直接的な対話に重きを置こうとするなか、学生も企業説明会やインターンシップといったリアルの場を重視しているようだ。 就職情報大手「マイナビ」が27年卒業予定の大学生と大学院生の計1161人から回答を得たアンケート調査では、リアルの場で得られる情報の重要性について「増している」「やや増している」との回答が計74・9%を占めた。 自由記述の回答には「他の人より優位に立つにはリアルの場で情報を得て企業理解について深掘りする必要がある」など、AIの利用で完成度が高いエントリーシートなどが標準化するなかで、他の学生に少しでも差を付けたいとの思惑が目立った。 マイナビキャリアリサーチラボの長谷川洋介研究員は「学生にとってリアルな場で得られる情報の価値は、正確性や本質性だけでなく、他の学生との差別化という戦略的な価値もある」と分析している。【太田敦子】