ストーリー 佐々木雅彦毎日新聞 2026/4/19 06:01(最終更新 4/19 06:01) 有料記事 3328文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷卒業を祝う食事会で卒業生のあいさつに拍手を送る白川勝さん(左)=香川県丸亀市で2026年3月8日、大西岳彦撮影 1988年の瀬戸大橋開通後、香川県の建設業界では高速道路の延伸など関連事業が次々と立ち上がっていた。大企建設(同県善通寺市)も着実に仕事をこなし、経営の地盤を固めていった。前編はこちら35人の養育里親に 若手職人育成に懸ける建設会社元社長 しかし、社長だった白川勝さん(71)は「徒弟制度がないままでは将来、職人がいなくなってしまう」との危機感を募らせた。心筋梗塞(こうそく)のバイパス手術を受けて入院した42歳の約1カ月、熟考した。 「昔は中卒で弟子入りし、親方の背中を見て技を覚えた」。白川さんが建設業界に入った73年には「ぎりぎり徒弟制度が機能していた」。しかし、高度経済成長が終わると、無給で修業させるやり方は社会に認められなくなっていった。 ただ、「大工も左官も若いほど技術が身に付き成長が早い」。新しい育成方法はどうあるべきか。自身は養育里親として20人以上の子どもたちを育て、自社で雇用してきた。ただ、「うちの会社だけの問題ではない。業界全体の仕組みが必要だ」。考え抜いた末、おぼろげながら学校という形が見えてきた。「丁寧に技術を教え、高校卒業資格が取れれば、若者が来てくれるかもしれない」 世の中はまもなく建設不況に陥った。大企建設でも一時期は昇給ゼロ、ボーナスも出せなかった。白川さんの危機感も現実のものになっていく。国土交通省によると、白川さんが入院した97年をピークに全国に685万人いた建設業就業者の急減が始まり、高齢化も進んでいった。現代版「徒弟制度」を形に 50歳を超えた2005年ごろからいらだちを覚えるようになった。若手職人の育成に行政や大手建設会社がいつか乗り出すと思っていたのに「誰もやらないではないか」。建設業に就く人は97年から100万人以上減り、55歳以上の割合は2割から3割に増えた。若者の就業は先細る未来しか見えない。 「ならば自分でやるしかない」。会社経営が安定してきたと確信した13年、58歳で社長を弟に引き継いで一念発起。「職人学校」と名乗る数校を視察して回るなど動き始めた。しかし、高卒以上が対象だったり、職人がさらに上を目指したりする学校ばかり。モデルになりそうな学校はなかった。 結局ゼロから自らの思いを形にすべく模索して3年。同じ危機感を抱く中小企業二十数社の協力を得て、16年に一般社団法人「匠の学舎」を同県琴平町に開校し、理事長に就いた。主に中卒者を対象にした3年制で、1学年の定員は15人。高卒資格を取れるよう通信制高校と連携。生活の基盤となる寮も完備した。 授業は、徒弟制度を現代版にアレンジしたインターンシップ制を取り入れた。1年生は国語や数学など一般教科を中学や高校の教員経験者らに学びながら、大工など約15の専門職種を協力会社で体験する。2年生からは協力会社の中から自ら選んで実習に通う。 生徒は就職前に職場の雰囲気を知ることができ、協力会社は若手採用の機会が得られる。双方にメリットがあり実習先への就職につながれば、好循環が生まれるのではないか。そう期待したが、創立2年目にして空中分解寸前にまで陥った。1期生は入学した4人全員が退学。2期生は8人中5人が卒業したが、協力会社への就職はゼロだった。白川さんは「俺のやっていることは無駄なのか」とあきらめかけた。着実に育つ子どもたち 希望が見えたのは3期生のある生徒の一言だった。小中学生の時に問題を起こす度に親が頭を下げて回った。高校はどこも受からず、同校に来た。1年生の3学期の進路相談の場で、この生徒は「型枠大工になる」と明言し、実習先に型枠工事会社を選んだ。その理由を「親に迷惑ばかりかけたから一番しんどい仕事を選んだ。親の手を借りずに生きていく」と説明した。 白川さんは「これまでの自分を反省したのではないか」と感じ、その日の夜、うれし涙がぼろぼろとこぼれた。「こんな子が本当にいた。こんな子のた…この記事は有料記事です。残り1712文字(全文3328文字)あわせて読みたいAdvertisementこの記事の筆者すべて見る1時間24時間SNSスポニチのアクセスランキング1時間24時間1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>