「人の幸福には…」公演自ら企画、類見ぬ公共施設"水戸芸"の立役者

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毎日新聞 2026/1/2 09:30(最終更新 1/2 09:30) 1690文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷水戸市の中心部に建つ水戸芸術館=水戸市泉町の水戸市民会館屋上で2025年12月19日午前11時14分、斉藤瞳撮影写真一覧 水戸芸術館は、水戸市中心部にそびえ立つ高さ100メートルのシンボルタワーが有名だ。美しい外観に目をひかれるが、実は音楽・演劇・美術の3部門で公演や展覧会を自ら企画する、全国では類を見ない公共の文化施設でもある。1990年に開館し、初代館長には日本を代表するクラシック音楽の評論家の吉田秀和さんが就任。世界的指揮者の小澤征爾さんも館長を務めるなど注目を集めてきた。なぜ水戸市がこのような文化施設を作ることができたのだろうか。最期まで芸術館のことで頭がいっぱい 芸術館の構想は当時の水戸市長・佐川一信さんから生まれた。活用方法が議論されていた市立五軒小学校の跡地に文化施設を建設する構想を掲げ、84年の市長選で初当選。しかし、開館からわずか5年後の95年に55歳で亡くなった。Advertisement水戸芸術館の広場にはカスケード(噴水)がある=水戸市五軒町の水戸芸術館で2025年12月19日午前11時29分、斉藤瞳撮影写真一覧 「芸術館は大丈夫か」 佐川文庫館長で姉の千鶴さん(86)は臨終の言葉が忘れられない。開館前から「税金の無駄遣い」などと反対された。市民の理解を得られない中でも実現させたのは、人の幸福や生活の豊かさには、精神的に充実することが不可欠で、それをもたらすのが芸術であるという佐川さんの思いからだった。最期まで芸術館のことで頭がいっぱいだった。 佐川さんは学生時代を過ごした東京で音楽や演劇と出合った。実家からの仕送りはなく、アルバイトをして生活費を稼ぐ苦しい生活だったが、自ら演劇をやり、チケットの半券で箱がいっぱいになるほど音楽を聞きに行った。大学で講師をしていた30代半ばから何度か渡欧し、都市景観や芸術などを重視する政治に関心を持つようになった。 日本の多くの公共ホールでは、市民への貸し出しや外部の制作団体が企画した公演を買い取り運営している。一方、欧州では施設自らが公演を企画し市民に届けていた。「責任を持って市民に良い芸術を届けたい」「水戸から新しい芸術を発信したい」。そんな思いを芸術館の構想に込めた。 賛同者もいた一方で、激しい反対の声にもさらされた。それでも佐川さんは「市民にとって良いものを発信していればきっと理解される」と千鶴さんらに言い続けた。時を経ても変わらぬ役目水戸芸術館開館式典当日に館長室で記念撮影に臨んだ初代館長の吉田秀和さん(左から2人目)や佐川一信さん(右)ら=水戸芸術館提供写真一覧 佐川さんが初代館長を打診したのが吉田さんだった。クラシック音楽の評論家として有名で、美術や文学に関しても多く執筆していた。佐川さんが、神奈川県鎌倉市にある吉田さんの家に2年近く通った末にようやく「開館まで」と受けてもらえた。その後、吉田さんは2012年に98歳で亡くなるまで約四半世紀館長を務め、芸術館の基盤を作った。 芸術館の音楽・演劇・美術の3部門には学芸員が5~6人在籍し、公演の内容や出演者、チケット料金など全てを企画。それを芸術監督がまとめ、館長が了承し実現する。音楽ではクラシックから日本の伝統音楽まで、演劇では子ども向けの作品から落語までと、幅広い公演を楽しめる。来場者アンケートなどを取り、ほぼ毎週市民の声をいかした企画で埋まる。 吉田さんは欧州の演奏家や文化施設の責任者などと交流が盛んだった。国や自治体の予算で文化施設を運営する欧州に倣い、水戸市の毎年度予算の1%(約8億円)を芸術館の予算として確保し、自主企画ができる仕組みを築き上げた。 「吉田先生に館長をお願いできたのが大きかった。当時(具体的に)運営をどうすべきか、見えていたのは吉田先生だけで、我々も議会も理解していなかった」。開館前から40年近く芸術館に携わってきた、常務理事の大津良夫さん(70)は回顧する。開館当時を振り返る水戸芸術館の常務理事・大津良夫さん=水戸市五軒町の水戸芸術館で2025年12月19日午前10時42分、斉藤瞳撮影写真一覧 3月で開館から36年。芸術館の草創期に尽力した多くの人たちが他界した。物質的な豊かさが重視される現代に、芸術はどうすれば存続できるのか。水戸芸術館のシンボルタワー。市制100周年にちなみ高さは100メートル=水戸市泉町の水戸市民会館屋上で2025年12月19日午前11時15分、斉藤瞳撮影写真一覧 大津さんは「残念ながら、日本では芸術に重きが置かれなくなっている」と吐露する。今後、少子高齢化で市の財政がさらに厳しくなれば、今まで以上に採算性を求められるという。 「経済的に苦しい時代だからこそ、今日は良い音楽を聴いたとか美術館に行って気分転換になったとか、いつもより生き生きしていることを感じてもらうのが大事」 水戸のシンボルが果たす役目は時がたっても変わらない。【斉藤瞳】あわせて読みたいAdvertisement現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>