冬ごもり特選集:絵を描いただけで投獄 「最後の生き証人」が語る治安維持法100年

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冬ごもり特選集毎日新聞 2025/12/31 11:00(最終更新 12/31 11:00) 有料記事 4638文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷2024年5月、国会請願行動に参加した菱谷良一さん(左)と平山沙織さん=平山さん提供 2025年は治安維持法制定から100年の節目の年でした。ロシアによるウクライナ侵攻は終結の糸口が見つからず、日中関係も緊張した状況が続く中、国内ではスパイ防止法の制定が議論されています。 しかし、治安維持法では、「国の治安を守る」という旗印の下、多くの人々が特高警察の拷問を受け、不当に勾留されて犠牲となりました。 北海道に住む菱谷良一さん(104)は戦時中、学校で日常風景を絵に描いただけで、治安維持法によって検挙され、拷問を受けました。同法による弾圧の「最後の生き証人」です。 その菱谷さんがこの夏、「真実に触れてほしい」と、毎日新聞の取材に答えてくれました。今から84年前、治安維持法の暴走によって何が起きたのか、皆さんにぜひ知っていただき、これからの社会のあり方について一緒に考えていきたいと願っています。  毎日新聞デジタルで10月25日掲載の記事を再掲します。年齢・肩書きは当時のまま。  <関連記事>  下半身にたばこの火 治安維持法下、知られざる女性への性的拷問  「今の日本は新たな戦争前夜」 治安維持法の「暴走」にみる教訓  治安維持法に立ち向かい暗殺された 孤高の衆院議員「山宣」の闘い 「俺ね、泥棒したわけじゃないし、人を殺したわけじゃない。善良な市民だったんだよ」。男性は納得できずにいた。北海道旭川市の高齢者施設に入所する菱谷良一さん。戦時中に通った師範学校の教員や学生ら二十数人が一斉検挙された「生活図画事件」の当事者だ。 問題となったのは1枚の絵。日常風景を描いただけで「共産主義を啓蒙(けいもう)した」といわれなき罪を着せられた。治安維持法に2度目の改正がされ、暴走に歯止めがかからなくなった1941年の出来事だ。「最後の生き証人」からのメッセージを届けたい。「語れる人がいる、と知って」 「マスコミが取材で何かを得たいのならできる範囲で協力するよ」。夏まっただ中の8月。毎日新聞の依頼を快諾してくれた。「(治安維持法は)本当はこうだった、と私の口から教えてあげたい。真実に触れてほしいんだ」。個室のベッドに腰掛け言った。 インタビューはオンライン形式で実施した。この取材に欠かせなかった人がいる。菱谷さんのもとを毎週末のように訪ねる支援者の平山沙織さん(55)。面会時間を利用した取材は20分ほどのため、事前に記者の質問を菱谷さんに預けてくれた。「語れる人がまだこの世にいる、と知ってほしい」と力を込める。 法の暴走を伝える「生の声」を聞く機会はもうほとんどない。政府に謝罪などを求めてきた人権団体「治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟(国賠同盟)」は、同法違反容疑で逮捕された存命者を他に把握していない。菱谷さんはいわば「最後の生き証人」だ。 「どうして逮捕されたのかわからなかった」「自分はアカ(共産主義者)だなんて意識は全くなかった」。逮捕は青天のへきれきだった。捕まった学生たちは、読書をしたり、レコード鑑賞をしたりする、身の回りの風景を絵にしただけだ。 それなのに、なぜ――。日本が軍国主義化を深める中で、特別高等警察(特高)などが菱谷さんらを思想犯に仕立てる素地ができていた。「共産主義なんて知らなかった」 36年2月、陸軍青年将校が政府首脳らを襲撃した「2・26事件」が発生。首相経験がある高橋是清蔵相らが殺害され、社会を震撼(しんかん)させた。クーデターは失敗したが、軍部は政治介入を深めた。 同年4月…この記事は有料記事です。残り3212文字(全文4638文字)【前の記事】アサヒだけじゃない 被害受けた企業が語るランサムウエアの恐怖関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>