毎日新聞 2025/11/1 15:00(最終更新 11/1 15:00) 有料記事 2184文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷三重県文化会館大ホールで演奏するニコラ・ドートリクール氏=同館提供 毎日新聞津支局(津市)に今春、新人記者として赴任した長谷山寧音記者は、実は幼いころから演奏家を目指して練習を重ねたバイオリニスト。先細りする音楽業界の現状に、悩んだ末に新聞記者に転身しました。赴任直後に津市で開かれたフランスの気鋭の演奏家の演奏会に、「なぜ東京ではなく三重で?」。疑問を抱いた記者が調べてみると各地で住民を巻き込んで、自由な発想のクラシック音楽をもり立てる取り組みが行われていることを知りました。演奏家は思う存分演奏し、市民は音楽のファンになる――。レポートからは、赴任した地方で好きな音楽の理想像を見つけた、記者の喜びがあふれます。長谷山寧音(津支局)クラシック業界の厳しい現状 「衰退業界へようこそ!」。今年9月、新日本フィルハーモニー交響楽団の採用ページにこんなメッセージが掲載された。世界的指揮者の故小澤征爾さんらが設立したオーケストラによるこの自虐的な発信は、交流サイト(SNS)などで物議を醸した。 3歳からバイオリンを続け、かつては演奏家を志していた私も、クラシック音楽を取り巻く厳しさは痛感している。音楽離れが進む一方、その道で食べていけるのはほんの一握り。悩んだ末に、幼い頃からの夢に区切りを付け新聞記者になった。ただ、生まれ育った首都圏を離れ三重県で働き始めた今、地方に眠る音楽の可能性を感じている。 赴任して間もない4月末、三重県文化会館(津市)でフランスの有名バイオリニスト、ニコラ・ドートリクール氏のリサイタルがあった。フランスの芸術文化勲章シュバリエを受章した気鋭の演奏家がなぜ三重に? 疑問が湧いた。理想の演奏環境実現したホール 1994年完成の同館は、最もよく音が響くとされる「残響2秒」を実現した日本で数少ない音楽ホールだ。オーケストラの音を柔らかく響かせ、一つ一つの楽器が明確に聞こえる残響時間とされ、ホールの理想といわれている。 この素晴らしさを知らしめたい。そう考えた同館は2002年、録音目的での利用を希望する演奏家にホールの無料貸し出しを始めた。条件は音源をCDなどで発売する際、録音場所に同館の名称を明記することだけ。演奏家にホールを体感してもらうと同時に、知名度アップを図るのが目的だった。 狙いは的中した。「録音したこのホールで演奏会を開きたい」といった声が寄せられるようになった。それを受け、17年からは収録した演奏をコンサートなどで披露してもらう取り組みも開始。ホールの利用料は無料で、チラシやポスターなどの作製費も施設側が負担する。さらに、チケット代や会場で行う物販の収益は演奏家側に入るという“破格の対応”で迎え入れた。 ニコラ氏がリサイタルを開いたのも、こうした取り組みがきっかけだった。以前、ここでCD収録をしたニコラ氏がホールを気に入り、「また演奏させてほしい」と依頼して実現したという。 演奏家の満足度はもちろん、同館のPRにもつながり、各所からホールの利用申し込みが舞い込むようになった。文化庁の調査報告書によると、国や自治体が運営する全国の音楽ホールの年間稼働率(24年度)は平均55・4%にとどまる。一方で、同館はここ数年、毎年平均90%という高い利用率を維持している。 首都圏では、若手演奏家が舞台に立てる機会が少ない。私の音楽仲間でも自主公演を開く友人は多いが、採算が取れず、費用は持ち出しになるケースがほとんどだ。 一方で、地方に目を向けると、あまり知られていない秀逸なホールや、演奏家が実力を発揮できる土壌が数多くある。 有名なのは、長野県松本市で92年から続く「セイジ・オザワ松本フェスティバル」だ。小澤…この記事は有料記事です。残り682文字(全文2184文字)あわせて読みたいAdvertisement現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>