自衛隊の「赤いきつね」「緑のたぬき」ってナニ!?カップ麺ではありません…でも持ってると“栄誉”

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2025.11.01凪破真名(歴史ライター・編集)tags: ミリタリー, 航空自衛隊, 軍用車両, 陸上自衛隊自衛隊には某カップ麺の商品名にちなんだ愛称、「赤いきつね」や「緑のたぬき」が付けられた記念章があります。これらはどのような自衛官に与えられるのでしょうか。カップ麺と同じ愛称だがかなり名誉な証明? 正式な式典などで陸海空の自衛隊員が制服を着用しているとき、主に左胸に色とりどりの四角い布状のものが付けられています。これは「防衛記念章」と呼ばれるもので、自衛官の身分、職業、資格、所属、功績などを示すものです。拡大画像制服着用時、四角で囲まれた部分にあるのが防衛記念章(画像:陸上自衛隊第13旅団) 中には、某カップ麺の商品名にちなんだ愛称、「赤いきつね」や「緑のたぬき」が付けられた記念章もあります。では、これらはどのような自衛官に与えられるのでしょうか。 防衛記念章は1982(昭和57)年に制式化され、隊員の士気向上や自衛隊の魅力アップを目的として制定されました。「特定の任務に携わった」「任務中に表彰されるべき行動を起こした」「国家や社会に貢献した」といった功績を証明するため、2025年現在では計48種類の記念章があり、該当する自衛隊員に授与されます。 他国の軍隊の勲章に似ていますが、厳密には異なります。勲章はメダルとリボンがセットで授与されますが、防衛記念章は基本的に略式としてリボンのみが使われます(メダルが付属するのは一部のみ)。リボンの大きさは横3.6cm、縦1.1cmで、カラフルな糸で織られた独特の風合いがあります。 多くの防衛記念章をつけている自衛官は、さまざまな形で自衛隊や国家に貢献してきたことを示しており、彼らにとって非常に栄誉あるものです。前述した通り多くの場合で、防衛記念章にはメダルがなく、リボンのみ小さな箱に入れて授与されたことから「グリコのおまけ」と呼ばれることもありました。 授与された記念章は左胸ポケットの上部にピンで取り付けます。数多くの記念章を授与された隊員は、襟に隠れないように並べるなど、着け方にも厳格なルールがあります。また、右胸には航空記章やレンジャー徽章などの徽章も取り付ける必要があり、防衛記念章との間は5mm空けるなどの規定があります。 さて、前述した「赤いきつね」と「緑のたぬき」は、それぞれ第39号と第40号の防衛記念章です。第39号は「25年以上勤続した自衛官」、第40号は「10年以上勤続した自衛官」に授与されます。第39号は緑地に白いラインで「緑のたぬき」、第40号は赤地に白いラインで「赤いきつね」と、自衛官の間で呼ばれています。 つまり、「赤いきつね」や「緑のたぬき」を身につけている自衛官は、勤続年数の長いベテランです。特に赤いきつねをつけた自衛官は、長年にわたり自衛隊に所属してきたことから、尊敬の対象でもあります。長年自衛隊と国民に尽くしてきた証が、この記念章に込められているのです。派手な功績や特定任務の証明ではありませんが、長期間の厳しい訓練や様々な派遣活動を耐え抜いた自衛官にとって、一目置かれる栄誉となっています。 ちなみに、海上自衛隊では通称が異なり、緑のたぬきは「緑灯(あおとう)」、赤いきつねは「紅灯(あかとう)」と呼ばれています。【画像】ああ、こういうデザインなんだ! これが、ベテラン自衛官が着ける「赤いきつね」と「緑のたぬき」ですなぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。