Linux 6.18で、Microsoftの仮想化技術Hyper-Vに関するサポートが大幅に強化されたことがわかりました。単なる機能追加ではなく、LinuxとHyper-Vの関係性を再定義する重要なステップとなっています。Linux 6.18では、従来KVMとHyper-Vで別々に管理されていたゲストエントリコードが統一されました。これによりコードの保守性が向上し、仮想化プラットフォーム間の整合性が強化されます。また、将来的な最適化やセキュリティ対応が容易になると予想されます。Linuxが複数の仮想化環境をより柔軟に扱えるようになる布石とも言えます。ゲストエントリコードは、仮想マシンが起動・実行される際の"入り口"の処理コードのことです。KVMとHyper-Vは、仮想化の仕組みが異なるため、それぞれ専用のエントリコードが必要でした。また、Kexec(高速カーネル再起動)とKdump(クラッシュ時のメモリダンプ)が、AzureのConfidential VM(CVM)環境でも正式にサポートされました。セキュアな仮想環境でも障害解析が可能となり、開発者はCVM上でのトラブルシューティングを行いやすくなります。機密性と可観測性の両立が実現し、クラウド上でのセキュアなLinux運用が大きく全身することになります。さらに、古くから使われていたHyper-Vのフレームバッファドライバ「hyperv_fb」が正式に廃止され、より高性能なDRM(Direct Rendering Manager)ドライバへと移行します。グラフィック処理の品質や安定性が向上するほか、モダンなLinuxディスプレイスタックとの整合性の強化も行われることになります。その他、Hyper-V MSIドメインの刷新による割り込み処理の効率化や、インフラコードのクリーンアップによる保守性の向上も行われています。まとめ:LinuxとHyper-Vの関係が“対等”に近づく兆しこれらの変更は、Linuxがクラウドネイティブなセキュリティ要件に対応するための進化の一環だと捉えられています。特にCVM対応は、セキュリティと可用性の両立を求める現代の開発者にとって、非常に実用的なアップデートと言えるでしょう。[via Phoronix]