「ばれたらゲームオーバー」から胸張って「家族」 世田谷のカップル

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二階堂勇2025年11月5日 5時00分元警察官の勝山こうへいさん(右)と元消防士の平田金重さん。ユーチューブやSNSでは「KANE and KOTFE」(カネコフェ)として日常生活などを発信している=2025年10月27日、東京都世田谷区、二階堂勇撮影 同性カップルの関係を公的に認める制度が東京都世田谷区と渋谷区で初めて導入されてから11月5日で、10年が経った。世田谷区で約4年前にパートナー宣誓をした男性カップルに、思いを聞いた。 「家族として認められ、関係を隠さずに話せるようになった。心理的な安心感が得られた」 元警察官の勝山こうへいさん(43)と元消防士の平田金重さん(38)が世田谷区でパートナーシップ宣誓に署名したのは、2人が出会ってから10年目の2021年12月。ともにその年の春に仕事を辞め、京都から東京・世田谷へ引っ越して来て2カ月後のことだった。 約14年前にウェブサイトを通じて知り合い、意気投合。京都で同居していたときは、周囲に気を使いながら生活していた。職場でも言えず、「ばれたら『ゲームオーバー』だと思った」と勝山さん。心身ともに健康に働くことが難しいと感じていた。平田さんも将来を考えていた。2人が「ここなら胸を張って歩ける気がした」と、転居先に世田谷を選んだのは、日本で初めて宣誓制度を始めた自治体の一つだったからだ。「理解のある地域で新たな生活を始めたいと思った」という。 2人はいま、ユーチューブやSNSで「KANE and KOTFE」(カネコフェ)として活動。2人の日常生活を発信している。動画投稿は「家族の記録を残したい」と自分たち向けにはじめたが、当事者たちの心にも響いた。「(自分も)将来、パートナーと出会って幸せに生きていけるかもしれないと思った」などと、2人をロールモデルとして受け止める反応もあった。上の世代の同性愛者の男性からは「自分は一生隠し続けて生きる。だけど、君たちのようなカップルの人生を見せてもらうことで自分も疑似体験でき、救われる気持ちになった」といった声も届いている。勝山さんは言う。「当事者たちを支えることにつながっているんだなと、すごく思う」 2人は、LGBTQ関連の講演や防犯・護身術の研修などの活動もしている。若い世代は同性カップルを自然に受け入れる傾向がある一方で、教育従事者や保護者らには「無意識の偏見を感じる。より知る機会が必要かもしれない」と指摘する。 性のあり方に悩む若い世代には、勝山さんはこう伝えたいという。「違いは、間違いじゃない。あなたはあなたのままでいいよ」。平田さんは「君は何も悪くない。その悩みは社会の問題であって、あなた自身の問題ではない」。 パートナーシップ制度の先には、同性婚を見すえる。勝山さんは「法制度が整えば、国民の理解も進むと思う。制度ができてからがスタートで、その10年後には『昔は同性が結婚できなかったなんて信じられない』と思える時代が来ると信じている」。平田さんは「人権の問題として、誰もが自由に生き方を選択できる社会をめざしたい」。【30周年キャンペーン】今なら2カ月間無料で有料記事が読み放題!詳しくはこちらこの記事を書いた人二階堂勇ネットワーク報道本部専門・関心分野政党政治、安全保障、歴史こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ11月5日 (水)外国人政策で閣僚会議初会合自衛隊 クマ対策後方支援へ犯罪被害者支援 手帳導入へ11月4日 (火)北朝鮮に首脳会談呼びかけ「国立大は今後減る」53%王貞治さんらに文化勲章11月3日 (月)ドジャース、2連覇未解決殺人事件 4割建物消滅暖房器具の事故、5年で596件11月2日 (日)DNA型提出を複数回拒否自動車メーカー 展示さまざま山手線 丸くなって100年トップニューストップページへチェイニー元副大統領が死去、84歳 ブッシュ政権でイラク戦争主導22:47犯行時に「手にけが」、治療記録は確認されず 名古屋女性殺害事件17:51ゲッティ社、画像生成AI企業に敗訴 「学習」の是非は判断示されず23:57「家族」に認められた喜び パートナーシップ「第1号」2人の10年5:00プーチン氏が栗原小巻さんに勲章 国際的な結束強調、ドイツ人らにも2:34NY市長選、急進左派34歳が優勢 トランプ氏「共産主義者」と攻撃19:30