近寄るな!? 「危」「毒」「高圧ガス」…なぜ複数のマークをクルマにつけるの?

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2025.11.09乗りものニュース編集部tags: タンクローリー, 自動車街中で、「危」や「毒」といった漢字一文字のプレートや、「高圧ガス」などのステッカーを貼ったクルマを見かけることがあります。こうした標示を付けた車両は、そもそも何を運んでいるのでしょうか。ワケあって「複数のプレートを付けている」ことも 街中で、「危」や「毒」といった漢字一文字のプレートや、「高圧ガス」などのステッカーを貼ったクルマを見かけることがあります。字の意味を考えると、標示のある車両には注意が必要な気もしてきますが、そもそもこうしたプレート類は、何を運んでいることを意味しているのでしょうか。拡大画像「毒」と「高圧ガス」の2種類の標示が取り付けられたトラック(乗りものニュース編集部撮影) 当然ながら「危」や「毒」の車両標示は、人体に有害な物質や物品を運んでいることを指します。しかし、実は両者はそれぞれ別々の法令によって車体への標示義務が定められており、「危」マークは総務省、「毒」マークは厚生労働省と担当省庁も異なっています。 まず「危」マークこと「危険物積載表示板」は、消防法によってルールが定められている標示です。事故・火災などの際に、引火や爆発の危険性、水による消火の可否を即座に判断するための標示で、主にガソリンやシンナーといった石油類、硫黄や鉄粉などの引火性のある物質を、それぞれ一定量以上運ぶ際に標示義務が発生します。 一方、「毒」マークの正式名称は「毒物積載標識」といい、「毒物及び劇物取締法」という法令で定められている標示です。こちらはニトロベンゼン(染料や香料、医薬品などの原料)や塩酸、硫酸など、人体に触れたり吸引したりすると有害な化学物質が標示の対象で、同じく事故や車両破損により、運んでいる物質が流出した際に危険を判断するためのマークです。 また、「高圧ガス」マークは高圧ガス保安法によって定められた標示であり、担当しているのは経済産業省。プロパンガスや酸素、窒素などが標示の対象品です。経済産業省ではこのほか、火薬類を運搬する車両に取り付ける「火」というマークについても所管しています。 このように、各マーク類はとてもよく似た見た目ではあるものの、法的には全く別物という扱いです。そのため、車両によっては「危」と「毒」、「毒」と「高圧ガス」というように、複数の種類のプレートを付けているケースも少なくありません。 また、「危」マークの車両であれば資格をもった「危険物取扱者」が乗務する必要があったり、「毒」マークの車両では、事故時に備えて防毒マスクやゴム手袋といった保護具の携行が義務づけられていたりするほか、運転手の連続運転時間なども各法令で規定されています。【絶対漏らさないためには?】これが「危」タンクローリーの安全対策です(写真)