食い荒らされたリンゴ、散らばるフン クマ被害の農園「今年は異常」

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有料記事藤原伸雄2025年11月16日 11時00分主力品種「ふじ」の木を見つめる渡辺良雄さん(82)の足元には、無数のリンゴが落ちていた=2025年11月14日午後0時41分、藤原伸雄撮影 「ほとんど壊滅状態です」 秋田市内のリンゴ畑。収穫期にもかかわらずほとんど実がついていない主力品種「ふじ」の木の下で、渡辺農園の渡辺良雄さん(82)は深いため息をついた。足元には、ツキノワグマに食い荒らされたリンゴが無数に落ちていた。渡辺農園内の木々の下に落ちていた、ツキノワグマに食い荒らされたリンゴ=2025年11月14日午後、秋田市、藤原伸雄撮影 茶色く見える畑はこの時期、本来なら実ったリンゴで赤々と染まるはずだった。地面には、あちこちに大量のフンが散らばる。木によじ登ったとみられる痕跡もあり、枝も折れていた。枝の再生には時間がかかるため、来年以降にも影響する。渡辺さんは「(リンゴ栽培を)続けていくのが難しいかもしれない」と頭を抱える。 約2ヘクタールの農園に、今夏からクマの侵入が相次いだ。収穫直前の早生(わせ)種の品種「つがる」がクマに食われ始めると、連日のようにクマが園内を荒らすようになった。それ以降もリンゴが赤く実ればクマに食べられる日々が続いた。 熟したリンゴをクマに食べられないよう、追われるように収穫したものの、10月末までに園内の約7割のリンゴがクマにやられた。損失は1箱20キロ入るカゴで換算すると50箱以上で、50万円以上だという。 できる限りの対策はした。地元の猟友会に頼み、「箱わな」を2カ所設置。ハチミツやバナナをえさにした。今春から11月初旬までに8頭が捕獲、駆除された。だが、リンゴの木への被害をとめることはできなかった。記事後半では、クマの被害を受けた果樹園をレポートした動画を公開しています。 地区では最近、子グマの目撃情報が相次いでいるという。「今年のクマは冬眠せずに、人里の食料を狙いにくるかもしれない」。冬を越えた子グマが、来年以降も園内や町に出没する可能性もある。渡辺農園のリンゴ畑の前の道にあったツキノワグマのものとみられるフン=2025年11月14日午後、秋田市、藤原伸雄撮影 地区の振興会長を務める渡辺さんは、自衛隊や警察、行政のクマ対策に期待する一方、「農作物だけでなく、安全対策をして住民を守っていかなきゃならない。小さな地区にも支援が届くのか、不安なところはある」と話した。ロケット花火、箱わなでもおさまらず 別の秋田市内のリンゴ畑では…【11月25日まで】全記事が読み放題のコースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちらこの記事を書いた人藤原伸雄映像報道部専門・関心分野国際情勢、貧困問題相次ぐクマ被害クマが人の生活圏に出没するケースが増え、人身被害も相次いでいます。被害現場の取材を通して見えたものや対策、専門家の知見をまとめます。[もっと見る]こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ11月16日 (日)「非核三原則」見直し検討へ中国、日本渡航自粛呼びかけ東京都、宿泊税引き上げ検討11月15日 (土)日中、非難の応酬デフリンピックきょう開幕大谷翔平 4度目のMVP11月14日 (金)総合経済対策案を与党に提示山上被告の母、遺族らに謝罪警察官がクマ駆除可能に11月13日 (木)捜査情報漏らしたか 警官逮捕斎藤元彦・兵庫知事を不起訴知床の遊覧船沈没、無罪主張トップニューストップページへ暗号資産を金融商品に ビットコインなど105銘柄、税率軽減検討5:00酒店の先客はクレープほおばる小学生 ニュータウンの一角で漏れる光6:004首相を輩出、保守王国で自民に迫る危機 楽観一転「いつのまにか」19:01宮城県知事選、憤っていた最年少候補 4番手に沈んだ「格差是正」10:00難聴になって20年超、会話も困難に 人工内耳で「聞こえる!」驚き11:00口コミで看板変える葬儀社に要注意 過当競争の業界 霊安室争奪戦も11:00