朝日新聞記事有料記事高橋俊成 野口駿2025年11月13日 6時00分 10月31日午後、愛知県警西署の一室。 小さな机を挟み、高羽悟さん(69)は、県警捜査1課の男性警部と向き合っていた。 この日、「重要な話がある。他の用事をなげうって来てほしい」と呼び出された。 到着すると別の捜査員もいたが、すぐに退席し、2人きりになった。警部は切り出した。 「26年間かかってしまい、申し訳ありませんでした」 そして、続けた。 「今夜、逮捕します」 警部の目は潤んでいた。高羽奈美子さん=1999年10月20日、悟さん提供撮影 1999年11月13日、悟さんの妻、奈美子さん(当時32)が自宅アパートで殺害された。警部は未解決事件を扱う「特命捜査係」に所属し、昨年春から、奈美子さんの事件の捜査を担当してきた。 「悟さんが知っている人です」 「えっ」。だが、口をついて出た。「高校の同級生?」 「当たりです」と警部。 悟さんは、高校時代の運動部が一緒だった1人の女性を思い出した。「山口久美子?」 「当たりです。何でわかったんですか」 「山口」は、数時間後、殺人容疑で逮捕されることになる安福久美子容疑者(69)=名古屋市港区=の旧姓。高校時代の安福久美子容疑者=関係者提供 なぜ……。恨みを買うような、思い当たる節はない。でも、高校の同級生で思い浮かんだのは彼女だった。 高校時代、バレンタインデーにチョコレートをもらったり、好意を告げられたりしたことがあった。卒業後は県内の別々の大学に進学したが、大学に来たことも。喫茶店に連れていき、「受け入れられない」と伝えると、泣き出した。 それから約20年の時をはさみ、99年6月にあった部活の同窓会で再会した。「結婚して子どももいて、家事も仕事もして大変」と明るく話しかけられた。 奈美子さんが自宅で遺体で見つかったのは、その5カ月後。玄関には犯人のものとみられる血痕が残り、現場近くには不審な女の目撃情報もあったが、容疑者の特定には至らず、捜査は難航した。雨で流れた血痕、繰り返したDNA型鑑定 愛知県警の元捜査員は捜査が…【30周年キャンペーン】今なら2カ月間無料で有料記事が読み放題!詳しくはこちら関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ11月13日 (木)捜査情報漏らしたか 警官逮捕斎藤元彦・兵庫知事を不起訴知床の遊覧船沈没、無罪主張11月12日 (水)殺傷力ある武器、輸出拡大へ俳優の仲代達矢さん死去 92歳Suicaのペンギンが「卒業」へ11月11日 (火)議員定数削減、自維で温度差米政府機関の閉鎖、解除へ減る東京の農地 都が支援に力11月10日 (月)NHK党の立花容疑者を逮捕葬儀料金めぐるトラブル多発4人の遺族 米オープンAI提訴トップニューストップページへ「内部にスパイがいる」 警視庁の5年を超える捜査と身内の裏切り14:15高市首相「政治とカネ」で防戦 議員定数削減で維新も圧力、三重苦に5:00教団に1億円献金の母親出廷、何を語るか 山上被告の「宗教的背景」6:00株主重視の負の側面か 相次ぐ上場廃止「会社は誰のためのものか」6:00「ふざけるなと叫びたくなった」 知床遊覧船事故初公判に家族憤り16:40山本由伸が都城高で築いた基礎、投手転向前のポジションと育成の意図17:30