「伝説の保護司」が人生を変えた 「めんどくせー」から始まった面会

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朝日新聞記事有料記事染田屋竜太2025年11月11日 9時00分2003年1月、成人の日にお世話になった中沢照子さん(左)と一緒に写真におさまる十嶋くにおさん(中沢さん提供) 「あの頃は学校に行くのも面倒だった。アルバイトも長続きしなかった」 十嶋(としま)くにおさん(43)は、東京都江東区で過ごした少年時代をそう振り返る。 中学3年のとき、仲間とバイクで走り回っていた。パトカーに追われ、友人がバイクごと転倒。助けているうちに警察官が駆けつけ、騒ぎの中で転んで、けがを負った。公務執行妨害と傷害の疑いで逮捕され、少年鑑別所に入った。 家裁の少年審判では、社会の中で更生できると判断され、保護観察処分になった。 保護観察中は、決められた約束を守りながら過ごし、保護観察官や保護司と定期的に面会しなければならない。中沢さんとの出会い 「保護司なんて、めんどくせー」。渋々面会に向かった。 十嶋さんを担当したのは、地元で保護司になったばかりの中沢照子さん(84)。 最近見たドラマ、好きな食べ物……。たわいない話をすると、中沢さんは「面白いね、十嶋くんは」と笑顔で返してくれた。 「今日は荷下ろしのバイトをした」と言うと、「すごいじゃない。せっかく始めたなら続けないと」。 話が1時間になってもじっと耳を傾け、「あなたならできる」と背中を押してくれた。 保護司は同じ地域に住む人が担う。毎朝バイトに向かう途中、近くのマンションの窓から「きょうもがんばれー」と中沢さんの声が飛んできた。 いつのまにかバイトが長続きしていた。 両親は共働きで、会話はほとんどなかった。口を開けば小言ばかりで、「大人は俺の話を聴いてくれない」と思っていた。保護観察が終わった後も ある日、中沢さんが言った。「この前、あなたのお父さんに会ったら、『自分の育て方が悪かったのか』って泣いてたよ」。親とも向き合ってくれたことに、心の中で頭を下げた。 少年の保護観察は、更生が認められたら解除される。十嶋さんは1年ほどで終了したが、その後も中沢さんに会いに行った。 高校を中退し、バイトで食いつないだ。一方で、プロレスラーになりたいという夢があった。 中沢さんに打ち明けると、「いいじゃない。くれぐれも体に気をつけてね」。 お金をためて、プロレスが盛んなプエルトリコに留学。帰国後にデビューを果たした。電車の線路を点検する「保線」の仕事にも就いた。 仕事とレスラーを両立する日…【30周年キャンペーン】今なら2カ月間無料で有料記事が読み放題!詳しくはこちらこの記事を書いた人染田屋竜太東京社会部専門・関心分野事件・事故 国際ニュース(アジア)関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ11月11日 (火)議員定数削減、自維で温度差米政府機関の閉鎖、解除へ減る東京の農地 都が支援に力11月10日 (月)NHK党の立花容疑者を逮捕葬儀料金めぐるトラブル多発4人の遺族 米オープンAI提訴11月9日 (日)物価高対策に「おこめ券」外観要件、高裁が「違憲」クマ出没、秋の観光に打撃11月8日 (土)「置き配」を標準サービスに首相「存立危機事態なりうる」生活保護費改定やり直し検討トップニューストップページへ学校通わせず、ペット用カメラで監視か 女児虐待容疑で母親ら逮捕へ5:00トランスジェンダー選手は五輪で女子競技禁止の方針 IOC、英報道6:30インド首都の世界遺産「赤い城」近くで爆発 8人死亡、20人けがか0:22元「番記者」が見抜けなかった同質化の抵抗感 公明の決別に思うこと5:00パズドラ後の低迷に「社長解任」 物言う株主が求めたゲームチェンジ6:00イヌは「幼い」から遊び好き ヒトに助けを求める合図、独自に獲得も7:00