朝日新聞記事二階堂友紀2025年11月11日 9時00分法務省 刑務所から仮釈放された人や、保護観察中の少年らの立ち直りを支える「保護司」の担い手を増やそうと、政府は11日、保護司法の改正案を閣議決定した。「多様な人材」の確保を明記し、任期を今の2年から3年に延長する。臨時国会での成立をめざす。 さらに、滋賀県大津市で昨年5月、自宅で面接中の保護司が殺害された事件を受け、保護司が安全に面接に臨める場所の確保や支援体制の整備を、国の責務とした。 保護司は、法相の委嘱を受ける非常勤の国家公務員。刑事司法手続きのアンカーとして再犯を防ぐ「更生保護」の一翼を担う。ただ、無報酬のボランティアで、交通費などの実費しかもらえない。 明治期の篤志家の活動がルーツとされる日本独自の制度で、国際的な評価も高いが、高齢化となり手不足に直面している。 法務省の「犯罪白書」などによると、20年前の2005年には約4万9千人いたが、今年は約4万6千人に。一方で平均年齢は、63.3歳から、65.4歳へと上昇した。年齢別の構成でみると、60~69歳と70歳以上が、それぞれ4割を占める。 法務省の担当者は「これまでは地域の名士から名士へと受け継がれる傾向にあったが、地域社会のつながりが薄れ、新しい担い手を見つけにくくなっている」と話す。保護司の年齢別構成の推移 こうした状況を受け、改正案では、保護司の要件から「社会的信望」や「時間的余裕」があることを削除し、「人格識見が高い」「必要な時間を確保できる」と改めた。いまの文言ではハードルが高いと受け止められる恐れがあるためだ。 保護司の使命として掲げていた「社会の浄化」という表現も、時代にあわないとして見直し、「安全な地域社会の実現」を図るとした。 そのうえで、保護司を推薦する保護観察所長は、地域の民間団体や個人の協力を得て「多様な人材」の確保に努めると明記。現役世代の人が保護司を務めやすいよう、民間企業が休暇の取得などに配慮することを努力義務にした。 保護司の活動のため休暇をとったことなどを理由に、解雇など不利益な扱いをすることを禁じる規定も盛り込んだ。報酬制の導入は見送り 今回の改正は、法務省の有識者検討会が昨年10月にまとめた報告書を受けたものだ。検討会では報酬制の導入も検討されたが、「無報酬だからこそ罪を犯した対象者が心を許してくれる」などと慎重な意見が多く見送られた。 同省はすでに、初めて委嘱する時の年齢の上限「66歳以下」をなくし、自宅以外の面接場所を増やすなど、法律以外の見直しを進めている。保護司とは【30周年キャンペーン】今なら2カ月間無料で有料記事が読み放題!詳しくはこちらこの記事を書いた人二階堂友紀東京社会部専門・関心分野人権 性や家族のあり方の多様性 政治と社会関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ11月11日 (火)議員定数削減、自維で温度差米政府機関の閉鎖、解除へ減る東京の農地 都が支援に力11月10日 (月)NHK党の立花容疑者を逮捕葬儀料金めぐるトラブル多発4人の遺族 米オープンAI提訴11月9日 (日)物価高対策に「おこめ券」外観要件、高裁が「違憲」クマ出没、秋の観光に打撃11月8日 (土)「置き配」を標準サービスに首相「存立危機事態なりうる」生活保護費改定やり直し検討トップニューストップページへ学校通わせず、ペット用カメラで監視か 女児虐待容疑で母親ら逮捕へ5:00トランスジェンダー選手は五輪で女子競技禁止の方針 IOC、英報道6:30インド首都の世界遺産「赤い城」近くで爆発 8人死亡、20人けがか0:22元「番記者」が見抜けなかった同質化の抵抗感 公明の決別に思うこと5:00パズドラ後の低迷に「社長解任」 物言う株主が求めたゲームチェンジ6:00イヌは「幼い」から遊び好き ヒトに助けを求める合図、独自に獲得も7:00