有料記事山田暢史2025年11月12日 11時00分クマに襲われ右目を負傷し、片目のサングラスをする沢田石さん=2024年12月1日、秋田県五城目町、座小田英史撮影 クマの出没が相次ぐ中、農作業中に襲われる被害も後をたたない。過去にクマに襲われ、右目を負傷した秋田のコメ農家が当時の恐怖を語った。 農林業がさかんな秋田県中部の五城目町。山あいでコメ作りを営む沢田石俊行さん(76)は8年前の経験がトラウマとして残る。 数日前から予兆はあった。自宅近くのコメのモミを保管する倉庫付近には20センチほどの穴が掘られ、中に侵入しようとした跡があった。穴の大きさからクマと思われたが、姿を確認することは出来なかった。 しかし、11月3日の朝は違った。入り口のシャッターを開けると、最初に目に入ったのは、中から飛び出してきた1メートルほどの大きな黒い塊だった。一瞬の動きで、クマだと気がついた時は、組み合うような状況だった。盛岡市役所の裏側にある中津川沿いに姿を見せたクマ=2025年10月23日午前8時38分、盛岡市、坂田達郎撮影 もみ合いの中で右肩に爪が刺さり、力に押され、近くの側溝に落ちた。さらに追いかけてきたクマに再び襲われ、右目を負傷。頭が真っ白になり、「うわー」と大声をあげると、クマは逃げた。 救急搬送されて入院した。命は助かったが、1カ月半ほどの重傷を負った。今も当時のことが夢に出て、冷や汗をかき、目覚めてしまうこともある。「今もあの恐怖は忘れられない」と語る。 クマにひっかかれた右目は光を感じるが、不調が残る。外出する際には右目だけレンズが入ったサングラスをつける。 「昔は地域でクマが出るという話はなかったが、高齢化で農家や林業者が減り、山の手入れが行き届いていないためではないか」。治療のために、いまも約30キロ離れた秋田市内に通院する生活が続く。 秋田県は昨年からクマの被害…【30周年キャンペーン】今なら2カ月間無料で有料記事が読み放題!詳しくはこちらこの記事を書いた人山田暢史東京社会部|農林水産・食担当専門・関心分野農林水産業、食、武道、災害相次ぐクマ被害クマが人の生活圏に出没するケースが増え、人身被害も相次いでいます。被害現場の取材を通して見えたものや対策、専門家の知見をまとめます。[もっと見る]こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ11月12日 (水)殺傷力ある武器、輸出拡大へ俳優の仲代達矢さん死去 92歳Suicaのペンギンが「卒業」へ11月11日 (火)議員定数削減、自維で温度差米政府機関の閉鎖、解除へ減る東京の農地 都が支援に力11月10日 (月)NHK党の立花容疑者を逮捕葬儀料金めぐるトラブル多発4人の遺族 米オープンAI提訴11月9日 (日)物価高対策に「おこめ券」外観要件、高裁が「違憲」クマ出没、秋の観光に打撃トップニューストップページへ米空母、中南米沖に到着 トランプ政権、ベネズエラへ圧力強める11:13ロシア、小泉悠氏ら日本人30人を入国禁止 対ロシア制裁の報復7:15COP不参加、トランプ政権は「恥」 次の米大統領選有力候補が批判10:00参政党「反グローバリズム」で海外右派と連携 自民との差別化戦略も11:00クマに襲われ、右目を負傷 秋田のコメ農家が語る、忘れられない恐怖11:00「学歴マウント」を無力化するには そこにひそむ不満と心のとりで7:30