知床遊覧船事故、「陸の上」にいた社長に刑事責任は問えるのか

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遠藤隆史2025年11月12日 10時44分釧路地裁の玄関前で、記者団の方を向く桂田精一被告=2025年11月12日午前9時31分、北海道釧路市、加藤丈朗撮影 北海道・知床半島沖で3年半前に遊覧船が沈没し26人が死亡・行方不明となった事故で、業務上過失致死の罪に問われた運航会社「知床遊覧船」社長の桂田精一被告(62)の公判が12日、釧路地裁で始まった。 桂田被告側は無罪を主張。公判の大きな焦点は、事故当時に船ではなく「陸の上」にいた被告に、事故が起きたことへの罪を問えるかどうかだ。 水難事故をめぐって、船に乗っていなかった関係者の刑事責任が問われた裁判は過去にもある。 浜松市の天竜川で2011年に川下り船が転覆し、5人が死亡した事故。16年に始まった公判では、乗船していた船頭だけでなく、船にいなかった運営会社の元営業課長と元船頭主任の2人も、「事故を防ぐ訓練の実施を怠った」などとして業務上過失致死の罪で起訴された。 しかし、2人に対する司法判断は分かれた。元営業課長は有罪とされた一方、元船頭主任は高裁で逆転無罪になった。 判断が分かれた大きな理由は、2人に課せられた法的な責任の違いだ。 運営会社が策定した安全管理規程では、元営業課長は「安全統括管理者」兼「運航管理者」の立場にあったが、元船頭主任の役割は「運航管理補助者」だった。 17年の東京高裁判決は、運航管理者には安全な運航を実現する責任があったと指摘。一方、運航管理補助者には訓練を実施させる法的義務はないなどとして、元船頭主任に罪は問えないと結論づけた。 今回の知床遊覧船事故のケースでは、陸にいた桂田被告は安全統括管理者と運航管理者を兼務していた。公判では会社の実態を踏まえて、被告にどんな法的義務が要求されるといえるかが、結論を左右しそうだ。【30周年キャンペーン】今なら2カ月間無料で有料記事が読み放題!詳しくはこちらこの記事を書いた人遠藤隆史東京社会部専門・関心分野司法、労働、福祉北海道・知床遊覧船沈没事故北海道・知床半島沖のオホーツク海で2022年4月23日、小型観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没しました。乗客24人(子ども2人を含む)のうち18人が死亡、6人が行方不明となっています。運航会社の社長は業務上過失致死の罪で起訴され、民事訴訟でも責任を追及されています。関連ニュースをまとめてお伝えします。[もっと見る]こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ11月12日 (水)殺傷力ある武器、輸出拡大へ俳優の仲代達矢さん死去 92歳Suicaのペンギンが「卒業」へ11月11日 (火)議員定数削減、自維で温度差米政府機関の閉鎖、解除へ減る東京の農地 都が支援に力11月10日 (月)NHK党の立花容疑者を逮捕葬儀料金めぐるトラブル多発4人の遺族 米オープンAI提訴11月9日 (日)物価高対策に「おこめ券」外観要件、高裁が「違憲」クマ出没、秋の観光に打撃トップニューストップページへ無登録で株を勧誘容疑、役員ら逮捕 「将来は上場」110億円集金か5:00ロシア、小泉悠氏ら日本人30人を入国禁止 対ロシア制裁の報復7:15COP不参加、トランプ政権は「恥」 次の米大統領選有力候補が批判10:00歴史的株高を生んだガバナンス改革 「二匹目のどじょう」が泳ぎ回る6:00「高市さんに一票」次世代のために…政策信条違っても投票した私7:00「学歴マウント」を無力化するには そこにひそむ不満と心のとりで7:30