伊東市長、「新図書館建設中止」と続投表明 市役所には苦情殺到

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続投会見から一夜明けて伊東市役所に登庁する田久保真紀市長。報道陣の問いかけには終始無言だった=静岡県伊東市で2025年8月1日午前9時6分、若井耕司撮影 学歴詐称疑惑のある静岡県伊東市の田久保真紀市長がこれまでの辞意表明から一転、7月31日の記者会見で続投を宣言した。「新図書館建設中止」など公約実現のためと訴えるが、一夜明けた8月1日には市役所に苦情電話が殺到、市議会は9月定例会での市長不信任決議を視野に入れており、市政の混乱は収束が見えない。 31日午後4時。田久保市長は市役所で市幹部を集めた臨時の政策会議を開き、この後の記者会見で続投を表明すると報告した。Advertisement 市幹部は市政が混乱するとして反発。市長は「副市長、教育長の人事案を9月定例会に提案したい」と伝えたが、「議会に否決され現実的ではない」と批判の声が上がった。会議の最後には部長全員が総意として、(続投を表明する)午後8時の記者会見までの再考を求めた。 記者会見後、青木敬博・市議会副議長は「市長だけが幸せで、市民が幸せになっていない。この田久保劇場をいつまで続けるのか落胆している。会見では『たくさんの人が応援している』と言っていたが逆ではないか」と疑問を呈した。市議会が設置している調査特別委員会(百条委員会)の井戸清司委員長も「市民からは辞めろという声が圧倒的に多い」と話す。伊東市役所の担当課は鳴りやまない電話の対応に終日忙殺された=静岡県伊東市で2025年8月1日、若井耕司撮影 一夜明けた1日。伊東市役所には午前8時半の開庁から「市長は辞めるべきだ」などといった苦情を中心とした電話が鳴りやまず、担当課以外にも電話を回して対応した。この日、秘書広報課で対応した電話は330件、届いたメールは31日の閉庁以降24時間で850件。電話とメールは7月2日から累計4000件を超える。これとは別に市議会事務局などにも同様に電話があるという。 百条委は市広報誌に田久保市長の学歴が「東洋大学法学部卒業」と誤って記載された経緯を調査している。これまでに田久保市長は卒業証書とされるものの提出と証人出頭の要請を拒否しており、再度要請しても応じない場合は地方自治法違反の疑いで刑事告発をする。市議会は9月定例会への不信任決議案提出を視野に入れる。 地方自治法の規定で、不信任決議案は議員数の3分の2以上が出席し、さらに出席者の4分の3以上が賛成すると可決。市長は失職か市議会の解散を選択する。市議会解散の場合、市議選を経て初めての議会で3分の2以上の議員が出席し、過半数が不信任決議案に賛成すると、市長は自動的に失職する。 多くの市議は「市長は議会解散を選ぶだろう」と覚悟を決めているという。解散を経て市長が失職した場合、市議選で4500万円、市長選で2500万円程度の費用がかかる。市議らからは「無駄な出費になる。自ら辞めてくれればいいのに」という声も出ている。【若井耕司】記者会見での主な一問一答記者会見で辞意を撤回し、続投を表明した伊東市の田久保真紀市長(左)=静岡県伊東市の市観光会館で2025年7月31日、若井耕司撮影(冒頭)たくさんの方から、この伊東が変わる機会が失われるのかという失望の声をいただいた。厳しい意見もあるが、頑張ってほしいという言葉の数々が多くあった。辞めるわけにはいかない。 ――百条委で市長の知人が「田久保市長から2度『大学を卒業していない』と聞いた」と証言した。 ◆そのような発言をした記憶は一切ない。証拠を示しているなら拝見したい。 ――百条委に欠席した理由は。 ◆どんな理由で出頭し、何を証言しないといけないのかしっかり示されれば検討する。――7月2、18日に辞めると言ったがウソだったのか。 ◆反論することはない ――弁護士事務所の金庫に保管している「卒業証書」の提出を警察から求められれば応じるか。 ◆(弁護士が回答)刑事訴訟法に押収拒絶権があるので拒絶する。 ――検察への「卒業証書」提出は予定通りか。 ◆刑事告発もされているので今、回答は差し控える。 ――市議会が不信任決議を可決した場合の対応は。 ◆その答えを持ち合わせていない。 ――説明責任は果たせているか。 ◆確定した事実から市民に示していく。