有料記事上田学2025年7月29日 17時30分空襲で焼かれた八王子の街並み。右側の道路は甲州街道=1945年10月、東京都八王子市、同市郷土資料館提供 終戦間近の1945年8月2日未明、東京都八王子市に米軍爆撃機B29が多数襲来し、2時間近く、焼夷(しょうい)弾を落とし続けた。約450人が命を奪われた「八王子空襲」から80年。旧市街地の大部分が焼き尽くされたなか、命をつないだ村野圭市さん(93)=同市明神町=は、2人に減った語り部の1人として、体験を語り続けている。 空襲に遭ったのは13歳、八王子工業学校1年生の時だった。 前日に空襲予告ビラがまかれ、警戒警報も出ていた。地域の防火要員だった父を自宅に残し、母と1歳と3歳の弟と4人で、郊外の知人宅へ向かった。だが、道中で「きょうは(爆撃機は)来ない」という軍の情報を耳にし、自宅に引き返した。 寝床に就いた頃、B29の轟音(ごうおん)が聞こえてきた。 「来たぞ、防空壕(ごう)に入れ!」 父が叫び、浴衣のまま急いで逃げ込んだ。 火の手が迫り、このままでは焼け死んでしまう、と思ったとき、防空壕の入り口をふさいでいた燃える焼夷弾を、父が蹴り飛ばした。 「逃げろ!」 父に促されて外に出ると、火の海だった。 村野さんは上の弟を背負い、母は下の弟を抱えて、近くの浅川に向かった。火を噴きながら転がる焼夷(しょうい)弾をよけて、必死に駆け抜けた。げたが脱げかけ、いつの間にか母を見失った。 1キロほど走って堤防沿いの桑畑に逃げ込み、弟と2人で不安な一夜を過ごした。「目に見えるようになってしまったら…」 夜が明け、自宅に戻る途中の…この記事を書いた人上田学ネットワーク報道本部|首都圏ニュースセンター専門・関心分野地方過疎(地方創生)、まちづくり、消費者問題、福祉・介護、社会保障戦後80年第2次世界大戦では、日本人だけでも300万人以上が犠牲になったと言われています。戦後80年となる今年、あの時代を振り返る意義とは何か。全国各地のニュースをまとめています。[もっと見る]こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ7月29日 (火)首相は改めて続投の意向高校の教育課程を柔軟化へ夏休み「性的脅迫」に注意7月28日 (月)ガザで子どもの飢餓が深刻化2千超の医療機関で浸水想定スズメが急速に減少7月27日 (日)やまゆり園事件 消えぬ不安石破首相の進退言及が焦点米マンガ賞、2氏が殿堂入り7月26日 (土)ニワトリ夏バテ 卵が高騰関税合意 日米認識差あらわジャングリア沖縄 オープントップニューストップページへ台湾総統が8月の中南米外遊を延期 「米国がNY立ち寄り拒否」報道16:30博士学生の生活費支援、留学生除外へ 「日本人ファースト」?懸念も17:30JR東海の純利益が過去最高に 4~6月、訪日客と万博が押し上げ17:28「草刈り中に手榴弾」 北九州で発見、周辺住民ら避難16:37自民党役員会、両院議員総会を開くと決定 首相「逃げずに説明する」11:04原爆の楽曲をポルノグラフィティが制作 「歌い手としてできること」11:00