毎日新聞 2025/7/30 11:31(最終更新 7/30 11:31) 1490文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷山口仙二さんが国連で演説する際に掲げた自らの写真=村里栄さん提供写真一覧 「ノーモア・ナガサキ……」。 長崎原爆に遭った男性が国連で初めて演説した際に掲げた写真が、8月6日から米国の大学で展示される。 男性の首筋に広がったケロイドを写した一枚で、アマチュアカメラマンの村里栄さん(91)=長崎市=が撮影した。 原爆投下から80年。「米国が『原爆投下は過ちだった』と認めない限り、原爆の脅威は消えない。原爆投下を正しいと思っている人たちが考えるきっかけになってほしい」と願う。Advertisement 被写体の男性は、山口仙二さん(2013年に82歳で死去)。14歳の時に動員先の兵器工場(爆心地の北約1・1キロ)で被爆し、顔や上半身などに大やけどをした。 24年にノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の結成に関わり、代表委員をしていた1982年に、米ニューヨークであった国連軍縮特別総会で被爆者として初めて演説に立った。 「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ウォー、ノーモア・ヒバクシャ」という訴えは、被爆者から世界への普遍的なメッセージとして知られている。「日本リアリズム写真集団」長崎支部の村里栄さんが1970年に撮影した、妻に髪を切ってもらう山口仙二さん=村里さん提供写真一覧 写真はそのフレーズを発する前に示した。 右耳から首筋にかけ熱線を浴びた皮膚は再生したものの、引きつってしわが寄っており、「私の顔や手をよく見てください。核兵器による死と苦しみを、たとえ一人たりとも許してはならない」と呼び掛けていた。 村里さんが撮影したのは、演説の12年前の70年にさかのぼる。 自身は原爆投下の約1週間後に疎開先から長崎市内の自宅に帰った入市被爆者。所属していた「日本リアリズム写真集団」長崎支部の一員として「写真で被爆者の実相を知らしめたい」と考え、仲間と手分けして被爆者の撮影に回った。 その一人が、自分より3歳上で当時39歳の山口さんだった。 自宅を訪ねると、山口さんは妻に髪を切ってもらい、入浴していた。 風呂から上がると、首筋に生えた産毛をカミソリでそった。「ケロイドになったら毛は生えない」と思っていた村里さんは、少し驚きながらカメラを向けた。 山口さんから演説で写真を使うという事前の相談はなかった。後に知った村里さんは「全世界の人がこれを見てくれたんだという驚きと、言い知れぬ感動があった」と振り返る。 撮影から55年後の今年、米オハイオ州ウィルミントン大平和資料センターで原爆資料の企画展を準備する関係者から「被爆者の写真の撮影者を捜している」と問い合わせがあった。 そのうちの一枚が山口さんを捉えた村里さん撮影の写真だった。 写真の裏には、村里さんと親交があった長崎の被爆者、広瀬方人(まさひと)さん(16年に85歳で死去)のスタンプが押されていた。 生前海外で被爆の実相を伝える活動に力を入れた広瀬さんから米国の平和活動家に渡り、センターで保管されていたとみられる。山口仙二さんが国連で掲げた写真を撮影した、村里栄さん=長崎市で2025年7月25日、尾形有菜撮影写真一覧 村里さんは、12月まで開かれる企画展での展示を承諾した。米国での公式展示は初めてとなる。 米国のトランプ大統領は今年6月、イランの核施設への攻撃について、広島、長崎への原爆投下になぞらえて正当化した。 村里さんは「『原爆投下が戦争を終わらせ、米国の兵士を救った』という考え方は80年たっても米国で変わっておらず、トランプ大統領はそれを口にしたに過ぎない」と考える。 だからこそ米国での展示に意義を感じている。「一人でも二人でも『原爆はだめだ』と思ったり、原爆について考えたりしてほしい」 村里さん撮影の写真は7月31日~8月11日、長崎市役所19階展望室ギャラリーで開く「日本リアリズム写真集団」長崎支部の写真展「長崎の証言」でも展示される。入場無料。【尾形有菜】【時系列で見る】関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>