粛々と待ち続けた無罪 教会、ラジオ体操、作業所に通う日々

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朝日新聞記事伊藤進之介2025年8月1日 13時48分教会の礼拝堂でミサが始まるのを待つ前川彰司さん。30年前、有罪判決を受けたあとカトリックの洗礼を受けた。信仰を心の支えにしてきた=2025年6月5日午前6時55分、福井市、伊藤進之介撮影 福井市で1986年に女子中学生を殺害したとする罪で服役後、再審に臨んだ前川彰司さん。7月18日の判決を前に、前川さんの日常に同行すると、粛々と日課をこなし、無罪判決を待つ姿があった。 朝6時、前川さんが一人で暮らすマンションの一室を訪ねた。すでに身支度を終え、窓際の床に座り、たばこを吸っていた。部屋の壁には無実を訴える支援者からの寄せ書き、棚には聖書があった。 毎朝5時過ぎに起床。6時半に近所の小学校でラジオ体操、7時半に教会のミサに通う。帰宅すると、就労が難しい障害者を受け入れる作業所に送迎車で移動し、2時間ほど菓子箱の組み立てや商品の検品作業に取り組む。自宅近くの小学校でラジオ体操をする前川さん。校庭の隅で、他に参加している高齢者とは距離を置いて、体を動かしていた=2025年6月5日午前6時39分、福井市 32歳から37歳まで刑に服した。金沢刑務所に収容され1年が過ぎたころ、精神を乱して岡崎医療刑務所(愛知県)へ。出所後は精神科病院に入退院を繰り返してきた。 「他の冤罪(えんざい)被害者のためにも」と再審制度の見直しの必要性や、検察への怒りを口にもしたが、日課をこなす姿は、神や自分自身と向き合うことで、心の平穏を保とうとしているようにも見えた。作業所で包装用の箱を折る仕事をする前川さん=2025年6月5日午前10時16分、福井市 前川さんに、95年の「逆転有罪」判決で失ったものを尋ねた。何度も聞かれたであろう質問に、長い沈黙の後、「自分自体かな」。 21歳で逮捕され38年。還暦を迎えた前川さんに名古屋高裁金沢支部(増田啓祐裁判長)は7月18日、無罪とする判決を言い渡した。(写真・文 伊藤進之介)作業所での仕事を終えて、自宅で休憩する前川さん。居間の壁に支援者たちからの寄せ書きが貼られていた=2025年6月5日午後3時34分、福井市前川さんの自宅の居間には聖書や冤罪(えんざい)事件に関する本が置かれていた=2025年6月5日午後3時56分、福井市毎朝通う教会で、ミサを終えた前川さん=2025年6月5日午前8時15分、福井市、伊藤進之介撮影関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ8月1日 (金)子どもの学力、大幅に低下男性の育休取得率、過去最高ふるさと納税、1兆2728億円7月31日 (木)北海道から沖縄で津波観測兵庫で国内史上最高の41.2度川重裏金で海自トップら処分7月30日 (水)自民 両院議員総会を開催へフジCM、トヨタが再開5年後の給与上昇 半数が疑問7月29日 (火)首相は改めて続投の意向高校の教育課程を柔軟化へ夏休み「性的脅迫」に注意トップニューストップページへ参院選の当選議員が初登院 参政党のさや氏は「細かい部分は後日」10:59社名ゆかりの「芝浦」去る東芝 光と影の舞台、140年の歴史に幕11:30トランプ氏「相互関税」大統領令に署名 7日から発動、日本は15%8:46韓国に敗れ、撤退の嵐 「日本のエジソン」があきらめない有機EL11:00参院選で争点だった外国人政策 中華街もある兵庫の外国人らの思いは13:00「水際でただ1回の総特攻」 軍事的合理性なき「本土決戦」案の実態11:00