農業存続の危機、政策改善訴え 「令和の百姓一揆」京都でシンポ

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毎日新聞 2025/7/31 13:42(最終更新 7/31 13:42) 1881文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷「関西 令和の百姓一揆と食の未来」のシンポジウムでパネル討論する(左から)菅野芳秀さん、池上甲一さん、堀悦雄さん、井崎敦子・京都市議。右端は司会進行の小林舞・京都大特定助教=京都市下京区で2025年7月12日、関西よつ葉連絡会提供 「関西 令和の百姓一揆と食の未来~私たちの米をどう守るか」と題したシンポジウムが7月12日、京都市下京区のキャンパスプラザ京都で開催された。関西よつ葉連絡会などで構成する実行委の主催で約200人が参加。日本の食を支える農業に存続の危機をもたらしてきた政策の問題点を指摘し、消費者も農家と連携して改善に動くことの必要性を共有した。 「令和の百姓一揆」は、コメの価格高騰が社会問題化する中、全国の農家らが持続可能な農業への転換を求めて3月30日、東京など14都道府県で一斉実施したデモだ。欧米諸国並みの所得保障、日本全国で誰もが安定して食料を入手できる環境の整備、自給率上昇、実質的減反政策の即刻廃止を掲げた。Advertisementシンポジウムの後、参加者らは京都駅前で街頭活動をした=京都市下京区で2025年7月12日、関西よつ葉連絡会提供 このデモを呼びかけた実行委代表で山形県長井市のコメ農家、菅野芳秀さん(75)がシンポで基調講演。「農民の窮状を何とかしてくれというのではなく、農民を追い込むことは国を食料危機に追いやることであり、消費者も連携しながら農と食を守っていこうという運動。一揆という形で国民的に警鐘を打ったが、まだまだ届いていない」と語った。 就農歴50年の菅野さんは5ヘクタールの水田で殺菌・殺虫をせず、化学肥料も使わないコメ作りをしてきた。田畑で出るくずをエサに約1000羽の鶏を放し飼いし、その糞(ふん)を肥料にする循環農業だ。「過剰な労働」によって両膝を痛め、現在は息子が農作業の中心を担っている。 補修を重ねて30年使ってきたモミの乾燥機が最近壊れた。更新費用は180万円。無農薬で化学肥料をできるだけ使わない循環農業は、「成長計画」を求める国の補助対象とされなかったという。年金などで何とか工面したが、今後も他の農機具が壊れるたび、存続の危機を迎えることになる。 「戦後の農地解放で600万人くらいとなった農民が日本の食を支えてきたが、今や100万人ほどに減り、さらにどんどん離農に追い込まれている。この国は何を目指し、どこに行こうとしているのかが根本的に問われている」。菅野さんはそう話し、時給10円とされてきた稲作農家の困窮を指摘。平均年齢70~71歳で団塊の世代が何とかつないできたが、「(このままでは)食の危機、命の危機が必ずやってくる。時間的猶予はない」と訴えた。「大規模農家も農業法人も中小の農家も、これからベランダ・プランター農業をやってみようという人も含めて、みんなで農業を守っていく流れを何とか作っていきたい」と強調した。 シンポでは有識者や他の農家も登壇した。世界の小規模農家を研究している池上甲一・近畿大名誉教授(農業経済学)は、コメ不足・高騰が話題になった「令和の米騒動」について「背後にあるコメ作りの危機の議論が隠された。(備蓄米放出で価格が下がり)早くも沈静化の兆しになったが、不安や怒りはもっと継続すべきだ。なければ輸入すればいいと言われるが、多国籍メジャー(企業)に命を預けていいのか」と疑問視した。 また、2024年5月に改正された食料・農業・農村基本法が食料安全保障確保や、「環境と調和のとれた食料システムの確立」など重要な4本柱の基本理念を掲げながら、25年4月に閣議決定された新たな「食料・農業・農村基本計画」はそれらを換骨奪胎し、生産性・効率性を偏重していると批判した。稲作が弱体化している指標の一つとして、23年の統計で自営労働1時間当たりの所得平均が近畿はマイナス829円、西日本は全て赤字だと指摘。「コメは卸売市場がなく、消費が減って非常に小さな市場になった。ちょっとした需給変化で価格が大きく上下する」とも解説した。 南丹市のコメ農家、堀悦雄さんは「食べる人が変わらない限り、日本の農業は変わらない。自分の命を守る方策をすぐに考えてほしい」と語り、「百姓としてそれなりに体が動くようになるには3、4年かかる。(作物に合わせた作業の)タイミングはマニュアルでは計れない。自分で少しでも体験し、食べ物を育てるのにどれだけ手がかかるのか実感してほしい」と訴えた。 一方、菅野さんは希望を持てる地元の取り組みも紹介した。長井市では家庭の生ごみを堆肥(たいひ)化し、育てた農作物を市民に供給する循環型地域作り事業「レインボープラン」を展開。置賜地方で地域の社会と農業が支え合う「地域自給圏」の構想も進んでいる。さらにプランターやベランダでもいいので市民全員が農業に参加する「市民皆農」を提唱。「さまざまな地域の農業を大切な命の場として、みんなが相互に関係して生きていく社会を作っていくことが大事だ」と呼びかけた。【太田裕之】あわせて読みたいAdvertisement現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>