朝日新聞記事有料記事宮坂知樹 岡田真実2025年7月31日 14時00分 トヨタ自動車の高級車を中心にした車の窃盗被害が後を絶たない。 対策がとられるたびに巧妙化した手口が現れ、被害は3年連続で増加。スペアキーをその場で作れる新たな電子機器の悪用も確認され、自衛が欠かせなくなっている。 午前2時半、大阪市西成区の住宅街を走る1台の車が、ある民家の前で止まった。5月8日のことだ。 車から降りた覆面の3人組が、民家にとまるトヨタ車アルファードに近づいた。民家の防犯カメラには、覆面の3人組がアルファードに近づき作業する様子が映っていた=2025年5月8日午前2時29分ごろ、大阪市西成区、被害者提供 玄関にある人感センサーが反応し、警報器が音を発しても気にかける様子はない。 手のひらサイズの機器を持った1人が車の前部にしゃがみ込み、あとの2人は補助するようにバンパー付近を押さえ、周囲を警戒した。 異変に気づいた住人の男性(59)が外へ出てくると、3人組は逃走した。 民家の防犯カメラに一部始終が映っていた。【動画】トヨタ車アルファードの窃盗未遂事件を映した防犯カメラ映像=被害者提供 約3分間の出来事だが、男性は被害を届け出た大阪府警から「エンジンがかかる一歩手前だった」と説明されたという。被害は3年連続増、昨年は6千件超 2センチほど浮いたバンパーから配線が出ていた。府警は「CANインベーダー」という機器による手口とみる。 CANは車の動作を制御するネットワーク「CAN通信」(Controller Area Network)を指し、インベーダーは「侵入者」を意味する。 左前部の配線に機器を接続すると、ドアの解錠やエンジンの始動が可能になるという。実際の事件で使われた「CANインベーダー」=2025年7月3日午後3時28分、大阪府警本部、宮坂知樹撮影 自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんによると、この機器は鍵の紛失時など緊急時に業者が使っていたが、2019年ごろから悪用されるようになったという。 警察庁のまとめでは、自動車盗の認知件数は20年までの7年間は前年比1~3割減で推移したが、21年は減少幅が鈍化した。 22年からは3年連続で増え、昨年は6080件(前年比318件増)。大阪府内の今年1~6月は327件で、前年同期比63.5%増だった。 警察庁は盗まれた車種別のデータを公表しています。トヨタの高級車が狙われる傾向がありますが、どのような対策が効果的なのでしょうか。トヨタへの取材とともに記事の後半で紹介します。 背景にCANインベーダーの広がりがあると府警はみているが、手口は変遷を繰り返してきた。 10年代は電子式盗難防止装…関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ7月31日 (木)北海道から沖縄で津波観測兵庫で国内史上最高の41.2度川重裏金で海自トップら処分7月30日 (水)自民 両院議員総会を開催へフジCM、トヨタが再開5年後の給与上昇 半数が疑問7月29日 (火)首相は改めて続投の意向高校の教育課程を柔軟化へ夏休み「性的脅迫」に注意7月28日 (月)ガザで子どもの飢餓が深刻化2千超の医療機関で浸水想定スズメが急速に減少トップニューストップページへ日銀が利上げ見送り 関税の影響見極める考え、物価上昇率は上方修正12:04台風9号、1日以降に伊豆諸島や関東に接近のおそれ 高波に警戒を9:40万博「8月中には黒字の見込み」 大阪の吉村知事が収支見通しを報告14:01三代目JSB今市メンバー書類送検、タクシー運転手に暴行と脅迫容疑10:00参院選のX投稿をAI分析 公示前からずっと関心集めたテーマが判明12:00裏返すと「前漢の鏡」研究者も驚き 富雄丸山古墳の銅鏡、全容判明11:30