本当にイラン核兵器作れなくなった? ステルス爆撃機の応援まで得たイスラエル でも米情報機関は悲観的な評価

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2025.07.30関 賢太郎(航空軍事評論家)tags: イスラエル軍, イラン軍, ミリタリーイランの核兵器開発能力を徹底的になくそうと背製攻撃を行ったイスラエル。最終的にはアメリカがB-2ステルス爆撃機と地中貫通爆弾まで投入しました。しかし、それでも米情報機関は厳しい見方をしているようです。 2025年6月13日の未明、イスラエル空軍は歴史的な大規模かつ精緻な航空作戦を発動しました。拡大画像イスラエル独自開発の「パイソン」空対空ミサイルを発射するF-15I戦闘機(画像:イスラエル空軍)。 この攻撃は、イランの核開発能力の無力化を目的としたもので、ただの局地的な戦闘ではありませんでした。のちに「12日間戦争」と呼ばれるようになった本作戦は、事実上、イスラエルとアメリカが連携した対イラン「限定戦争」で、現代軍事史における航空戦力の集中運用に立脚した戦い方として、注目に値すると言えるでしょう。 そこで、改めて作戦開始から振り返ってみたいと思います。 開戦当日、イスラエルは空軍戦力の中核を成すステルス戦闘機F-35I「アディール」や戦闘爆撃機F-15I「ラーム」、F-16I「スーファ」などを動員し、イラン各地に点在する防空システムと飛行場、核関連施設へ矢継ぎ早に精密攻撃を加えました。 その結果、イランの防空網は早期に無力化され、ほとんどイスラエル空軍にされるがままとなってしまいます。 また、イスラエルは人的リソースへの攻撃も怠りませんでした。イランの核物理学者を次々と暗殺します。作戦全体の周到さと冷徹さには、イスラエル特有の国としての生存戦略の一端が如実に現れていたと言えるでしょう。 最終的に、イスラエル空軍は12日間でのべ1500機を出撃させており、同国が本気になった場合、どれだけの航空戦力を集中投入できるか、その一端を垣間見ることができたとも言い換えられるかもしれません。 しかし、地下深くに埋設されたイランの核施設、特にフォルドゥのような高度に防護された複合地下施設に対しては、イスラエル空軍の手には余りました。ここで登場するのが、アメリカ空軍の戦略爆撃機B-2「スピリット」です。アメリカはイスラエルの支援として7機のB-2を展開させ、計14発のMOP(Massive Ordnance Penetrator:地中貫通爆弾)を投下しています。【次ページ】イランの核開発能力は失われたのか?【画像】尾翼にナニ描いている? これがイスラエルのF-35ステルス戦闘機だ