2025.08.03竹内 修(軍事ジャーナリスト)tags: UAS, アメリカ軍, ミリタリー, 早期警戒機, 航空, 軍用機米軍が空中給油機に「自衛用ドローン」の搭載を検討していると報じられています。空中給油機や早期警戒管制機といった「空の守り神」的な軍用機は、同時に脆弱性も抱えています。その防護策が、各国で課題となっているようです。 2025年7月4日付の「Cerro e motos」など複数の海外サイトは、アメリカ空軍がKC-135空中給油機に、自衛用小型ドローン(無人航空機)の射出システムの搭載を検討していると報じました。拡大画像アメリカ空軍のKC-135空中給油機(画像:アメリカ空軍)。 空中給油機から自衛用小型ドローンを射出するというアイデアは、KC-135をはじめとする空中給油機と、C-17などの輸送機を運用する航空機動軍団から生まれたもので、アメリカ空軍は2023年から2024年にかけて、「KC-135ドローンデリバリーシステム」という名称の機器類をKC-135に搭載して、テストを行っていたようです。 KC-135ドローンデリバリーシステムは、長さ1.2m、直径152mmのチューブ状のドローン射出装置などを収容するコンテナと、最大100機のドローンを搭載できるラック、ドローンの制御用ステーションと通信システムなどから構成されているようです。敵対勢力のドローンなどがKC-135に接近してきた場合、KC-135の側面ドアからチューブ状射出装置を使用してドローンを射出し、接近する脅威に対してドローンを体当たりさせることで無力化します。 射出を想定しているドローンの機種は明らかにされていませんが、このニュースを報じた複数の海外メディアによると、RTXの「コヨーテ」か、アンドゥリルの「ALTIUS-600」なのではないかと推測されています。KC-135デリバリーシステムには射出したドローンの回収機能はありませんので、使い捨てが可能な上記の機体が使用される可能性は高いと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。 なお、アメリカ空軍の航空機動軍団において2024年まで司令官を務めていたマイク・ミニハン退役大将は、このシステムで射出されるドローンは偵察や着陸前の自機の損傷確認などにも使えると述べています。 空中給油機や早期警戒管制機(AEW&C)などは、その支援によって戦闘機戦力を有効に活用できる効果を持つことから、「フォース・マルチプライヤー」と呼ばれます。戦略上、重要なこれらの機体は、同時に脆弱性も抱えています。【次ページ】狙われるフォース・マルチプライヤー【こいつら100機搭載…!?】これが空中給油機の“自衛用ドローン”です(画像)