「手足を縛らないで」現役裁判官が懸念する証拠開示規定 再審見直し

Wait 5 sec.

有料記事二階堂友紀2026年1月4日 5時00分法制審議会の部会は2025年4月から、再審制度の見直しに向けた議論を続けている=25年12月2日午前9時28分、法務省、二階堂友紀撮影 刑事裁判をやり直す再審制度の見直しをめぐり、法制審議会(法相の諮問機関)の部会が考える新たな証拠開示規定の形が見えてきた。裁判所に検察への開示命令を出すよう義務づけるが、対象範囲は限定。この範囲を越えて、裁判所が開示を命じる裁量規定は認めない方向だ。冤罪(えんざい)からの救済に逆行する懸念を残したまま、議論は最終局面に入った。「関連性」の範囲が焦点 証拠開示をめぐっては、通常の刑事裁判より狭い開示であるべきだとの考えから、対象範囲を「再審請求理由関連」に限定する案が有力になっていた。昨年12月16日の部会で、限定案を採用したうえで、裁判所が一定の条件下で開示命令を出さなければならないと規定することを確認した。 法務省が検討資料として示した案によると、裁判所は①再審請求理由との関連性の程度②再審開始の可否を判断するうえでの必要性の程度③開示による弊害の内容と程度――を考慮し、相当と認めるときは、検察に開示を命じなければならない。 法務省は今年の通常国会に刑事訴訟法の改正案を提出する方針で、法制審は2月にも法相への答申をまとめる。今後は、①の「関連性」の範囲が最大の焦点となる。法制審の多数意見による証拠開示のイメージ 刑事法学者らは部会で、関連性の範囲は「審議の経過に応じて広がり得る」と説明する。 弁護側が最初に提出した新証拠とその主張を受け、関連証拠を開示。弁護側がそれを踏まえて主張を追加し、関連証拠を開示……。こうして段階を踏めば、最終的には幅広い開示の実現も可能という意味だ。袴田さん無罪導いた証拠も「関連性」なし? ただ「関連性」はこれまで、検察が証拠を開示しない理由としても使われてきた言葉で、非常に狭い解釈も可能だ。 最高検は袴田巌さんの再審無罪を受けた2024年の検証報告書で、第1次再審請求審で無罪につながる「5点の衣類のカラー写真」を非開示とした対応について、当時は「関連性などが判然としなかった」と指摘。弁護団が開示を求めた1990年の時点で、開示相当だったとは言えないと結論づけている。 鴨志田祐美弁護士は部会後の会見で「関連性の範囲はどこまでなのか、具体的な話がほとんどないまま条文が作られる怖さがある」と語り、部会の中で具体例を挙げながら議論するよう求めた。記事の後半では、証拠開示をめぐる新たな焦点と、現役判事が部会メンバーに寄せた手紙の内容を紹介しています。■「再審開始率、下がることは…この記事を書いた人二階堂友紀東京社会部|法務省担当専門・関心分野法と政治と社会 人権 多様性袴田巌さん、再審無罪2024年9月26日、強盗殺人などの罪で死刑が確定していた袴田巌さん(88)に、再審公判で「無罪」が言い渡されました。袴田巌さんに関するニュースをまとめています。[もっと見る]こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ1月4日 (日)ニュースの要点はお休みです1月3日 (土)ニュースの要点はお休みです1月2日 (金)ニュースの要点はお休みです1月1日 (木)ニュースの要点はお休みですトップニューストップページへトランプ政権の狙いは? ベネズエラへの強権にみる「覇権」「介入」22:17なぜ青山学院大は山に強いのか 「出会い」を重視する原監督の答え20:10「手足を縛らないで」現役裁判官が懸念する証拠開示規定 再審見直し5:00法と正義、世界はどう取り戻す 危険な詭弁が許す「悪のなれ合い」16:30夫の愚痴、言い続ける義母「どう応える?」 妻の実家で感じる違和感15:00スザンヌさん、地元で老舗旅館再生 「温泉には幸せにする力がある」16:00