義足を脱いで、海へ 世界は広がる「1人では無理でもみんなとなら」

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井手さゆり2025年7月24日 7時30分SUPでポーズを決める義足ユーザーの女性たち=2025年7月6日、大阪府泉南市、井手さゆり撮影 「イエーイ!」 7月上旬。関西空港連絡橋を望むタルイサザンビーチ(大阪府泉南市)に浮かぶ大型SUP(サップ)の上で、義足ユーザーの女性たちがポーズを決めた。 参加した5人は、必需品の義足を脱いで、海へこぎ出した。「想像より、全然前に進む」。1人乗りに挑戦し、果敢に片足立ちに挑んだ女性は、SNSで義足の人がSUPに立てることを知り、やってみたかったという。声援が飛ぶ中、何度も海に落ちながら「難しかった。でも挑戦できてよかった!」と楽しげだ。SUPで片足立ちに挑戦する女性=2025年7月6日、大阪府泉南市、井手さゆり撮影 参加者たちは「小学生の時以来かも」「そもそも泳いだことがない」と口にした。義足は、さびにつながる水や塩分を嫌い、部品に入り込む細かな砂も御法度。足元が不安定な砂浜を歩くにはサポートが必要な場合も多く、義足の人にとって海は遊びに行く選択肢に入りにくい。海の上となればなおさらだ。 「でも、だからこそ体験して欲しかった」 そう話すのは、義足の女性のためのコミュニティーを運営するNPO法人「ハイヒール・フラミンゴ」(大阪府大東市)の野間麻子代表(56)だ。 「行けるところではなく、行きたいところへ行こう」が合言葉。日常生活では出会う機会が少ない義足の女性たちを交流会でつなげ、これまでヨガやフラダンス、フットネイルなどの、義足や素足を出して個人で参加するには勇気が要りそうな体験会を開いてきた。今回、大型SUPにはインストラクターが同乗するなど安全面には特に配慮した。足の切断部分を見られたくない人のために、波打ち際に着替え用テントを立てるなど、入念な準備で臨んだ。着替え用のテントからSUPまで、サポートを受けながら車いすで向かう女性(中央)。パートナーに支えてもらう人や杖で自力で歩く人など、障害の程度や体力などによって移動方法は様々だ=2025年7月6日、大阪府泉南市、井手さゆり撮影 海に繰り出したのは、実は2度目だ。2019年秋、「海に行きたい」という声を受け、神戸の砂浜を歩く会を開催。義足にプラスチック製のカバーをつけて波打ち際を歩いた。初めての人も久しぶりの人も、足の指の間を流れていく砂や水の感覚を楽しんだ。 活動開始から7年。メンバーは70人近くまで増えた。「仲間も協力者も増えて、世界が広がっている実感があります」と野間さんは話す。 「1人では無理でも、みんなと一緒ならハードルを越えていける」。次は何に挑戦しようか、わくわくしながら考えている。記念撮影をするNPO法人「ハイヒール・フラミンゴ」のメンバーたち。左から2人目が代表の野間麻子さん=2025年7月6日、大阪府泉南市、井手さゆり撮影【はじめるなら今】記事読み放題のスタンダードコース1カ月間無料+さらに5カ月間月額200円!詳しくはこちらこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ7月24日 (木)日米、相互関税15%で合意に首相続投、元首相ら認めずオジー・オズボーンさん死去7月23日 (水)関電、原発新設に着手表明石破首相に強まる退陣圧力松本元死刑囚次男が「グル」7月22日 (火)首相、参院選大敗でも続投表明石破政権への協力、慎重な野党サイバー攻撃対策に新ツール7月21日 (月)自公、参院も過半数割れ確実トランプ氏復権半年 世界翻弄夏場の「バッテリー」に注意トップニューストップページへ「日本が数十億ドルの防衛装備品を購入」 交渉合意でトランプ氏投稿22:37突然のサイバー攻撃、完全停止したシステム 1千人の社員が動いた7:00施設入所中に預金5600万円が消えた 浮上した職員と「引き出し」6:00「Grok、これってホント?」 生成AIで事実確認、潜むリスクは7:00大谷翔平が37号ソロ弾 連続本塁打記録を5試合に伸ばす6:00自民・武見氏 出口調査からみる敗因 離れた支持層、若者、無党派層6:30