毎日新聞 2025/7/26 14:00(最終更新 7/26 14:00) 有料記事 2940文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷書斎でくつろぐ作家の壺井栄=東京・鷺宮で1954年1月 お持ちの方はいらっしゃいませんか。私の手元にもありません――。 戦時下の混乱で失われ、作家自身も手に取ることを切望した“幻”の単行本が見つかった。 『二十四の瞳』などの反戦文学で知られる作家、壺井栄(1899~1967年)が太平洋戦争末期に中国で刊行した短編集『絣(かすり)の着物』。 何気ない日常をまっすぐなまなざしで写し取った物語に銃後の悲しみがにじむ。専門家は、言論統制下の「精いっぱいの抵抗」が刻まれた作品集と評価する。 <主な内容> ・初出不明、国内未発表の3編も収録 ・石川達三も「国内で書けないこと」を ・プロパガンダは隠れみの? 版元の戦略戦争の非人道性を表現 壺井は香川県の小豆島に生まれ、30代後半で本格的に作家活動を始めた。プロレタリア文学の影響を受けつつ、庶民の姿を描いた小説を多く発表した。 『絣の着物』は、45年6月に日本占領下の北京で刊行された。版元は「毎日新聞北京支局内」の「月刊毎日社」と記され、13編の小説が収められている。 壺井自身も実物は所有しておらず、終戦後に雑誌で「『絣の着物』をお持ちの方はいらっしゃいませんか。日本で発行されなかったので私の手元にもありません」などと呼びかけていた。 戦争末期の混乱で失われたと考えられていたが、このほど、日本近代文学が専門の秦剛(しんごう)・北京外国語大教授が、北京大の図書館に所蔵されているのを確認。秦教授による解説を加え、京都の出版社・琥珀書房から新装版が刊行された。 表題作は、44年に雑誌に発表された短編小説。主人公の冬子は息子・太郎のために絣の着物を仕立てるが、太郎は学徒出陣の直前に病気で世を去ってしまう。おいの信一にその着物を着せ、心の慰めを得た冬子のもとに、やがて信一の戦死の知らせが届く。 収録作のうち、「産衣」「老人」「花見時」の3編は初出が不明で、国内では未発表とみられる。他に、月刊毎日社が発行した在留邦人向けの日本語雑誌『月刊毎日』に掲載された「村の運動会」も、長く存在が知られていなかった。 「産衣」は、徴用された民間商船で働く息子の無事を願う母の物語。…この記事は有料記事です。残り2057文字(全文2940文字)【時系列で見る】関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>