2025.09.12乗りものニュース編集部tags: MRO Japan, 那覇空港, 飛行機那覇空港を拠点とし、さまざまな航空会社、そして官公庁より整備作業を受託する国内唯一の業務形態をとる企業「MRO Japan」が創立10周年を迎えました。同社はどのような特徴があるのでしょうか。伊丹から沖縄へ 那覇空港を拠点とする「MRO Japan」が2025年9月12日、創立10周年を迎えました。同社はさまざまな航空会社からの依頼をうけ航空機整備を実施する整備専門企業で、「航空会社の整備部門」ではない、日本においては初めてのスタイルを取る会社です。同社はどのような特徴があるのでしょうか。「MRO Japan」10周年式典の様子(2025年9月12日、乗りものニュース編集部撮影)。 MRO JapanはANAホールディングス出資のもと2015年に伊丹空港で立ち上がり、2019年には那覇空港へ拠点を移し、現在に至ります。当初はANAグループ出向社員180人で事業を開始しましたが、現在は沖縄県出身者が多数を占める「プロパー社員」も多く採用し、2025年の従業員数は470人まで拡大しています。 2025年現在、同社はANAグループやAIRDO、スターフライヤーを始め、台湾のスターラックス航空、そして航空自衛隊、海上自衛隊などの機体整備を手掛けています。同社で整備された航空機はこれまで約650機(ドック整備のみ)におよび、ボーイング737を始めとする通路1本の「単通路機」を中心に、2024年にはNCA(日本貨物航空)の「ジャンボ機」ことボーイング747も同社で整備を受けました。 同社はとくに塗装技術の高さには定評があるとのことで、広く知られる実績としては、AIRDOが2021年より運航している「ポケモン」の特別塗装機「ロコンジェット北海道」の塗装作業を担当。このほか、航空自衛隊那覇基地のF-15戦闘機などの洗浄作業なども担当し「民間航空整備士が戦闘機を洗う」というユニークな業務が日常的に行われています。 同日に開催された式典において、MRO Japan湯川恭史社長は「会社設立から10年間で約300名の新入社員が入社し、そのうち9割以上は沖縄出身の若者です」とし「日々たゆまぬ努力とプロフェッショナルとしての情熱を持ち日々の業務に取り組んできた全社員の皆さんに敬意を表します。1人1人が宝であり、誇りです」と話します。今後については「2022年には欧州航空安全庁の認定を取得し世界中の顧客をお招きする準備が整いました。近隣諸国で高まる航空機整備需要をしっかりと掴み、アジアを代表するMRO会社を目指して挑戦し続けてまいります」とコメントしています。 式典にはANAホールディングスの片野坂真哉会長も出席し、「日本を中心にアジア、そしてこれからはヨーロッパ北米視野に入れた事業展開が十分考えられます」とコメント。MRO Japanを「沖縄を拠点に航空機の安全を守り、そして人材を成長させ、これが沖縄経済のさらなる発展に寄与していく――。こうしたWin-Winの世界を作っていけると確信しております」と評価しています。【写真】えっ…これが「MRO japanの整備士による珍業務」です