陶磁器の「かけら」つないで作品 〝規格外〟から見いだす新たな価値

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有料記事上田真由美2025年9月15日 7時30分CACL代表の奥山純一さん。倉庫には割れた九谷焼のかけらが集められている=2025年8月12日午後2時32分、石川県能美市辰口町、上田真由美撮影 つややかな白い陶片の中に交ざる渋い灰黒色と、それらを結ぶ漆黒のつなぎ目。ひと目見たら忘れられないプレートは、割れた九谷焼や珠洲焼を輪島塗の技術でつなぎあわせてつくられた。企画したのは石川県能美市の会社「CACL(カクル)」。代表の奥山純一さん(41)は「規格外」にこだわってきたという。 九谷焼の陶片などを使ってつくられたプレートは、フランスの高級ファッションブランド・ジバンシイの系列で、香水や化粧品を手掛ける会社「パルファム ジバンシイ」の高級ラインの香水とセットで数量限定で販売される。「九谷焼と珠洲焼という本来、出会うことのなかったかけらを、能登半島地震で地元の工房を離れざるをえなかった輪島塗の職人がつないだ。誰かが決めた『規格』の外に存在するものから生まれました」と奥山さんは言う。パルファムジバンシイの香水とセット販売される九谷焼と珠洲焼の陶片をつかってつくられたプレート=CACL提供 岐阜県大垣市出身の奥山さんは外資系人材総合サービス会社を経て、金沢市で障害があったり生きづらさを感じたりする人たちの就労支援をする会社「ヴィスト」を設立。石川、富山、神奈川県に20の拠点をつくるまでに成長させた。 次第に、石川県南部で盛んな九谷焼のような伝統工芸の人手不足や事業継承の問題と、就労支援が必要な人たちの働く場の確保を結びつけられないかと考えるようになり、2023年6月、伝統工芸と福祉を融合させる新たな会社CACLをつくった。 CACLではまず、白磁の皿に九谷焼の絵付けのシートを貼る仕事を始めた。就労継続支援事業として、障害のある人たちが取り組んだ。「規格外」を決めるのは 奥山さんはこの仕事を通じて、制作工程でひびが入ったり規格外とされたりして、廃棄される陶片が大量にあることを知る。「割れて捨てられていくものを目にして、電撃が走るというか、うわぁっとなりました。母親の様子とオーバーラップしたんです」 奥山さんが高校生のとき、母…【U30応援割】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら3カ月間月額99円!詳しくはこちらこの記事を書いた人上田真由美金沢総局|能登駐在専門・関心分野民主主義、人口減少、日記など市井の記録を残す営み能登半島地震2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。地震をめぐる最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ9月15日 (月)「敬老の日」高齢者3619万人米兵は執行猶予判決なら帰国自殺考える子の悩みを分析9月14日 (日)ネパールで政変 若者が抗議世界陸上、東京で開幕佐渡金山の追悼式 韓国不参加9月13日 (土)日本生命、情報持ち出し604件自民総裁選 5人が争う見通し火星で生命の痕跡?見つかる9月12日 (金)郵便物の不配 公表せず米の政治活動家、銃撃され死亡金価格、連日最高値を更新トップニューストップページへ「敬老の日」高齢者3619万人 総務省推計、高齢化率29.4%17:00赤字の国立大病院が増加 物価高や医師の働き方改革、苦悩する現場7:00ギネス認定の94歳テノール歌手 耳鼻咽喉科医ならでは体調管理策7:00お菓子を選ぶ息子に「早くして!」 母は返ってきた言葉にハッとした16:00生活費を渡さない夫が起こした離婚裁判 「兵糧攻め」は許されるのか6:00男子マラソンや3000m障害 世界陸上東京大会 15日の見どころ7:00