毎日新聞 2026/1/12 10:30(最終更新 1/12 10:30) 1620文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷フランスで「超芸術トマソン全貌」を出版したカルドネル・シルヴァンさん。表紙は、赤瀬川原平さんらが発見したトマソン第1号の昇って降りる「四谷階段」=京都市伏見区の龍谷大で2025年12月23日午後4時37分、南陽子撮影 いまから40年前の1986年1月、東京・築地の中華料理店に、ある面々が集まった。2月、東海道新幹線で京都駅に降り立ったその面々はある調査を開始する。6月に設立する「路上観察学会」の栄えある、最初の踏査in京都である。 美術家で芥川賞作家でもあった赤瀬川原平さん(1937~2014年)が観察対象としていたのは「超芸術トマソン」。「不動産に付着し美しく保存されている無用の長物」と定義され、具体例を挙げるならば「路上の無用の突起物だ。あるいは穴を塞がれて無用となった郵便受の庇(ひさし)だけが玄関脇に……。ビルの側面に撤去された家の跡が影絵のように……」などとなる。Advertisement トマソンという命名は、81年にプロ野球・巨人に期待を集めて入団し、ふるわなかった外国人選手にちなむ。 「言葉があると、見えなかったものが見えてくるわけです」。カルドネル・シルヴァンさん(63)=京都市上京区=は、40年後のいまも絶えない路上観察者の一人。2024年には、赤瀬川さんの著作を仏訳し編み直した「Anatomie du tomason(超芸術トマソン全貌(ぜんぼう))」をフランスで出版し、世界の芸術大国に初めてトマソンを紹介した研究者となった。 迎えた26年も、4月から1年間の研究休暇を、路上観察学会の資料調査や赤瀬川さんの短編小説の仏訳出版などにつぎ込むというのだから、魅了されぶりはハンパない。西洋にも広がるトマソン カルドネルさんがトマソンを知ったのは17年ごろ。通勤は自転車。目に留めた街の風景を収めたスマートフォンを同僚に見せたところ「これはトマソンですね」と言われ夢中になった。 見知っていたはずの街が違って見える面白さだけでなく、なぜ面白いのかを考えると奥深い。コロナ禍に資料の渉猟を始め、22年度の研究休暇では国立国会図書館にこもり、学会メンバーら10人以上にインタビューした。 「超芸術トマソン全貌」は仏紙「リベラシオン」などに取り上げられ、25年1~2月にはベルギー・ブリュッセルの写真祭でトマソン写真を展示。4~6月には京都芸術センターでトマソン展を開催し、京都のトマソンを募ったところ60点もの写真が集まった。 無用の長物であるトマソンは、大家も大工も誰も意図せずに生まれ、つまり作者はおらず、作者の自己表現である芸術を超えているから「超芸術」。赤瀬川さんはトマソンに出合うまでは「反芸術」に身を投じ、超芸術を経て、のちにトマソンを芸術作品にした。「芸術とは何か」を考え続けた赤瀬川さんの哲学的実践にも興味を引かれている。 「作者はいないけれど、他者が発見することで見えるようになる意味で『他力』ではないか」。カルドネルさんはいま、浄土真宗の他力思想との接続を試みて、フランス語でトマソン論も書き進めている。 ただし、赤瀬川さんが「笑いは起きても議論は起きない」と、西洋人にはトマソンの面白さは理解されないのではないか、と疑っていた節があることには納得がいっていない。 「議論する語彙(ごい)がないだけで、トマソンを知ると皆が面白がって、フランスやらモロッコやらから『見つけた』と写真を送ってきます」 街の再開発で消えていく「もののあわれ」や「見立て」などの言葉を知らなくても、コミュニケーションやコミュニティーが生まれる。学会メンバーのうち、建築史家の藤森照信さんが観察した「西洋館」、イラストレーターの林丈二さんの「マンホールのふた」も今も愛好者を生み続けている。路上は人の交差点。夢中になる理由はその辺りにもあるに違いない。【南陽子】カルドネル・シルヴァンさん 龍谷大教授。印象派の画家が愛したパリ郊外の街・アルジャントゥイユ生まれ。哲学を専攻し、1989年に京都大の研究生として来日。西田幾多郎の論文を皮切りに翻訳家としても活躍し、2008年に沼正三の「家畜人ヤプー」で日仏翻訳文学賞。築100年超の町家に長年暮らす。あわせて読みたいAdvertisement現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>