市街地のクマ出没、少なくとも6800件 最悪の年をデータで分析

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有料記事浜田知宏 伊藤恵里奈 松浦祐子 杉浦奈実 グラフィック・北谷凜2026年1月12日 9時00分佐倉統さんのコメント クマの人身被害が過去最悪となった2025年度。都道府県が公表したクマの出没情報を朝日新聞が地図に落として調べたところ、市街地で少なくとも約6800件の出没情報がありました。クマたちに何が起きているのか、人間社会はどう対応すべきなのでしょうか。 「カリカリ、カリカリ……」 25年10月下旬の未明。秋田市のJR秋田駅から南東へ約1.4キロの住宅街で、異音が2時間ほど続いた。 不審に思った女性が窓から外を見ると、自宅前の道路にいたのはクマ。「道路に落ちたクルミをかじっていた。本当に驚きました」 朝日新聞は、都道府県が公表しているクマの出没情報をもとに、目撃情報や人身被害があった場所を地図に落とした。 都道府県によって、目撃情報や爪痕、ふんのような痕跡があった場所まで緯度経度を公表している例がある一方、人身被害があった場所だけの例もあるが、それらをすべて合わせた出没地点は全国で計2万7949地点に上った。 これに、国土交通省が公表している土地利用のデータから、住宅地や市街地といった「建物用地」で何件の出没情報があったかを数えると、少なくとも6896件に上った。 自宅前でクマを目撃した女性が住む秋田市横森1丁目の100メートル四方のエリアは今年度、全国で最も多い11回の出没情報があった。 住宅街とはいえ、近くには広さ約70ヘクタールの総合公園「一つ森公園」があり、150メートルほど先には川も流れている。クマが移動してきやすい環境ではあったとみられる。 近くでコーヒーショップを営む男性は10月下旬、店の前でクマに出くわした。「数メートル先で目が合った。驚いて声を出したら逃げていった」。その後、さらに2回目撃したという。 福祉施設管理者の女性も職場の近くで「クルミを食べているところを見た」と話した。 県のまとめでは、公園周辺では23年度にも出没情報が寄せられていた。近くで飲食店を営む70代女性は「クマの親子が木の実を食べていたと聞いた。その時のクマがまた来たのでは」と話す。 普段は子どもたちが遊んでいる公園だといい、市は今年度、一部のエリアの入場を制限した。 県は24年7月から、クマの出没情報をまとめた地図「クマダス」を公開している。住民から寄せられた目撃日時や状況、クマの大きさなどが記録され、市の公園担当者は「同じぐらいの大きさのクマの情報を追っていくと、移動しているのが想像できる」と語った。 県内では25年12月24日までに、66人が人身被害にあい、4人が亡くなった。このうち17件が建物用地で発生していた。 県の担当者によると、出没が多かった23年度と比べても市街地で多く出没があったという。「カキやギンナンといった山奥にはない『街の味』を食べる姿が確認されている」といい、クマを誘引する果樹の早めの収穫や伐採を呼びかけたり、移動経路となる河川敷や耕作放棄地の草刈りをしたりといった対策を進めているとした。 隣の岩手県でも12月24日までに、38人が被害にあい、5人が亡くなった。 県は目撃情報があった場所を公表していないが、盛岡市がまとめている地図では、市の中心部にも頻繁に出没していた。 10月28日には、県庁や市役所に近い岩手銀行本店の地下に侵入。朝の通勤時間帯とあって、周囲は騒然となった。 息子を連れて病院に向かって…この記事を書いた人浜田知宏デジタル企画報道部専門・関心分野データ分析、オープンデータ、子ども行政、教育伊藤恵里奈盛岡総局専門・関心分野ジェンダー史、自然環境、映画、異文化