映画の推し事:“バイト経験アリ”俳優が読み解いた 「レンタル・ファミリー」は世界の空気を温める

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映画の推し事毎日新聞 2026/3/7 22:00(最終更新 3/7 22:00) 1888文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷「レンタル・ファミリー」©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved. 家族を“レンタル”する――。物議を醸しそうなタイトルと裏腹に、漂う空気はとても温かい。映画を見終わったあとは見慣れた東京の景色が美しく、街ゆく人たちは柔らかく、自分の生きている世界が優しい空気に包まれたような感覚になった。そして心に残った余韻は、数日間消えなかった。 主人公のフィリップ(ブレンダン・フレイザー)は、7年前に歯磨き粉のCMをきっかけに日本に来たアメリカ人俳優。CMはヒットしたものの、なかなか大きな仕事に恵まれない日々を送っている。Advertisement そんななか“悲しむ外国人”としてウソの葬式に呼ばれるという特殊案件を受けることになる。現実世界でも耳にする家族代行サービス、「レンタル・ファミリー社」の仕事だった。 最初は戸惑いを隠せなかったフィリップだったが、仕事を通してさまざまな人生に触れることで、段々と気持ちが変化していく――。「レンタル・ファミリー」©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.オンとオフで見つけた私の“つながり” 自分と同じ俳優であるフィリップに、私自身が重なった。 仕事柄、彼のように「○○に出演していたマヤさんですよね」と言われることがある。俳優を始めたばかりの頃は、うれしい気持ちとともに、その人の見ている私と本当の自分が離れていると感じて、少し寂しさを覚えることがあった。 しかしそのような悩みも、ここ数年はほとんど感じることはなくなった。恐らく、本当の自分でつながることのできるモノを、オンラインでもオフラインでも持つことができたからだ。 オンラインではSNSだ。Instagramで写真やイラスト、ラジオ配信アプリで自分の言葉を発信する。私の内面を見て共感を寄せてくれるフォロワーも、増えたと思う。 オフラインではアルバイトだ。長年接客業をしていて、カメラの向こう側ではなく目の前の人に感謝されることが、自分の癒やしになると身をもって感じた。 映画の序盤で、フィリップがレンタル・ファミリー社の事務所で仕事の説明を受ける時に「この仕事はセラピストのようなもの」と解釈する場面があった。そして実際に彼は、この仕事によって悩める多くの人たちの心を癒やし、彼自身も生き生きしていくように見えた。 SNSとアルバイト。この二つの柱が、俳優ではなく人間としての私自身の心を支えてくれ、金銭的なところだけではなく俳優を長く続けるためのエネルギーになったと思う。これが、フィリップにとっては“家族代行サービス”なのかもしれない。「レンタル・ファミリー」©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.ウソだからこそ、ホンモノになれる だが、ここ数年で気づいたことがある。むしろ俳優という職業自体が、真実の姿に近づくことができる回路だと。 演技をしていると、ウソだからこそ、ホンモノになれる瞬間がある。自分じゃないものを演じることで、制御できない自分自身のありのままの姿がにじみ出るのだ。 例えば、与えられたセリフに違和感を覚えるとき。セリフを自分の言葉にできず、うまく出てこないとき。「私は本当は、こういうふうに生きたいんだ」と本音に気付かされる。 フィリップ自身がそうだ。映画の前半では、フィリップは俳優としてもレンタル・ファミリー社の仕事でも、ずっと演技をしている。レンタル・ファミリー社の同僚と接する時だけが、素の彼でいるように見える。礼儀正しく、(少し小心者で)人間らしく、ゆえに愛らしい。 しかし後半にかけて、彼は彼自身の正義に従って事件を起こしていく。そんなフィリップこそ、俳優もレンタル・ファミリー社の仕事も、すべてを包括させて現れた彼の真の姿なのだと思う。「レンタル・ファミリー」©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.“アウェー”の感覚が生んだ信頼関係 では、フィリップはなぜ真の姿を見せたのか? もう少し深掘りしたい。 この映画の大きな特徴は、日本が舞台でありながら主人公が外国人であるということだ。そしてフィリップの周囲の日本人たちは、彼に温かなまなざしを向け、困ったときに手を差し伸べようとする。 この展開は、HIKARI監督をはじめキャストやスタッフの多くが、“海外で活躍している日本人”だからではないかと思う。 彼は作品の後半で、とても破天荒なことをしているように見えるが、その根源には彼が周囲から受け取った心の温かさがあり、揺るぎない信頼関係があった。 ラスト、誰の指示でもなく彼自身の心に従って生きる姿には胸が熱くなる。きっと私のように演技をしたことのある人だけではなく、見た人すべてが深く共感するのではないだろうか。 ストーリーの作り込まれた深みだけでなく、作り手の心の温かさによって、世界の空気を変えるパワーのある映画になったと思う。一人でも多くの人たちに届き、この温かさを共有したいと願う。(今泉マヤ)【時系列で見る】【前の記事】「ほどなく、お別れです」で見えた“泣ける”邦画ヒットの公式 情感抑えた目黒蓮も功績大関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>