WBC挑む台湾「日本とも戦える」 国際試合や野球留学で培った自信

Wait 5 sec.

WBC1次リーグを戦う台湾代表の応援に駆けつけたファンら=東京ドームで5日、ロイター 「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)で連覇に挑む日本は6日の1次リーグ初戦で台湾と対戦する。国際舞台で躍進する台湾はアジアのライバルとしてだけでなく、選手の移籍や野球留学など交流を続けるパートナーとしての顔も持つ。 2月26日、台北市の総統府。プロ野球・ソフトバンク球団会長の王貞治氏が招かれ、日台野球の交流に長年貢献したとして頼清徳総統から勲章が贈られた。Advertisement 「(今回のWBCでは)日本と台湾が手を携えて、米国での本戦に行けると確信しています」 そう語った「世界のホームラン王」の言葉は台湾メディアで大きく報じられた。野球の台湾代表のパーカを手にして写真撮影に応じる王貞治氏(左)と台湾の頼清徳総統=台北市の総統府で2月26日(総統府提供)台湾の議会でもWBC話題に 台湾は2024年の「プレミア12」の決勝で日本を破り、主要国際大会で初優勝。各地で祝賀パレードが行われるなど、社会現象となった。 WBCでは各組上位2チームが準々決勝に進む1次リーグの戦いに熱い注目が集まる。会場の東京ドームには台湾からもファンが駆けつける予定で、立法委員(国会議員に相当)が議会で「大会前後に東京に向かう飛行機を大型化するよう航空会社と交渉できないか」と政府に求めたほどだ。 台湾側は日本戦に合わせて新宿など東京都内3カ所でパブリックビューイング会場を確保。入場券が入手できなかった計2500人が声援を送る。投打に充実の布陣 今大会の台湾は伝統の強力打線に加えて、投手陣の充実ぶりが評価されている。24年のプレミア12決勝で日本打線を抑えた林昱珉投手(米大リーグ・ダイヤモンドバックス傘下)のほか、古林睿煬(日本ハム)、徐若熙(ソフトバンク)両投手らが先発を担う。登録メンバー30人のうち、5人が日本のプロチームに所属、呉念庭選手(元西武)ら日本経験者も名を連ねる。 2月末には日本ハム、ソフトバンクが台北ドームで台湾代表と親善試合で対戦。近年は巨人や楽天も台湾に遠征するなど日台のプロ球団同士の試合が組まれるようになった。高校レベルでも日本と交流 「以前は日本には勝てないと思い込んでいたが、今の選手は違う。日本とも戦えるという自信を高校時代から培ってきた」 古林、徐両投手らプロを多数輩出する強豪・平鎮高校(桃園市)の呉柏宏監督は、台湾選手の精神的な変化が高い身体能力とあいまって国際大会での躍進につながったとみる。 台湾は近年のU18(18歳以下)ワールドカップで決勝進出の常連となり、日米としのぎを削る。25年12月には平鎮高など2校が日本高野連の国際交流事業で訪台した北海道と九州の選抜チームと対戦。米大リーグのスカウトも注目する台湾投手に挑んだ日本の打者からは「見たことのない変化球の軌道だった」と驚きの声が上がった。 海外志向が強い台湾では、甲子園出場を目指して日本の高校に飛び込む例も少なくない。WBC台湾代表で主将を務める陳傑憲選手らは元「留学組」だ。台湾から北海道・駒大苫小牧高に野球留学した林逸洋さん=札幌市の大和ハウスプレミストドームで2024年10月23日、貝塚太一撮影 留学を支援するNPO「グリーンプロジェクト」(東京都)は、17年からの9年間で49人を明秀日立(茨城)や高知中央などの強豪校に送り出した。日本の高校との面談や志望者の日本語学習、卒業後のキャリア支援なども行う。支援プログラムのマネジャー、晁菘徽(ちょうしゅうき)さん(31)によると、少子化が進む日本側からの問い合わせは増え続けているという。 林逸洋さん(19)はプログラムを利用して駒大苫小牧(北海道)に進み、主将も務めた。日本で野球をするのは、家族旅行で訪れた北海道で日本ハムの試合を観戦した小学生以来の憧れ。甘えが出ないようにと「台湾人がいない学校」を希望し、名門の戸をたたいた。 甲子園出場は果たせなかったが、言葉の壁や日台の野球文化の違いに直面しながらも、ミーティングを重ねてチームをまとめた経験は「大きな成長につながった」という。春から慶応大に入り、プロを目指す。【台北・林哲平】