朝日新聞記事現場から2026年3月8日 8時00分熊谷姿慧結婚式の様子=本人提供 「結婚で名字を変えるのは女性」。そんな慣習にあらがおうと、東京都内のあるカップルが選んだ夫婦の名字の決め方は「くじ引き」。その結果、見えたものとは――。 2024年に結婚した都内の会社員女性(27)は生まれながらの名字に強いこだわりがあったわけではない。「私が変えてもいいよ」と、後に夫となる男性(26)に伝えたこともあった。 考えが変わったのは、結婚の準備中のこと。男性が両親に「相手側の名字になる可能性もある」と伝えると驚かれ、反対された。そのやりとりに女性は「女性が変えるのが当然」と思われているようで、違和感を抱いた。 「女性が名字を変えるものとされる慣習に加担したくない」。ふいに、そんな思いが頭をもたげた。無条件に相手の名字にすることは、不平等な社会構造を肯定するように感じた。「やっぱり嫌かも」 話し合いをする中で、互いの名字への思いの強さが違うことにも気づいた。女性はどちらにしても同じ名字がいいと考えていたが、男性は相手の名字になるくらいなら、まだ実現されていない別姓婚がいいと考えていたのだ。 夫婦の名字は、親を含め、誰の意見にも左右されず自分たちの意思で決めたい。でも議論して、どちらかが説き伏せると「変えさせた」「変えさせられた」と2人の関係にわだかまりを残すかもしれない。 たどり着いた結論は、「くじ引き」だった。 名字への思いの強さを反映しようと、夫の名字になる確率を3分の2に、妻の名字になる確率は3分の1にする傾斜をつけることにした。2人ならではの「フェア」な形だった。 準備は厳格に進めた。女性が割り箸に1~3の番号を振り、男性がどの番号が出たらどの名字にするかを決めた。形で違いがわからないよう箸は割らず、容器から同時に引く。残った1本を「当たり」とする。 「せーの」で引いた。残ったのは、女性の名字だった。 その瞬間、女性の目には、これまで見たことがないほどショックを受けた男性の表情が映った。男性から大きな存在を奪うことを実感し、女性はとっさに「3回勝負」を提案。もう2回引くチャンスを男性にあげることにした。男性は決めたルールと違うと当初は渋ったが、女性も「私も納得できない」と譲らなかった。 続く2回は男性の名字が残り、女性が名字を変えることで決着した。 そうやって決めた名字。ただ結婚後、女性の心境に変化も生じた。夫との一体感を求めていたが、いざ変えてみると、喪失感が何度も押し寄せ、「自分には意外と名字にアイデンティティーがあったんだ」と気づかされた。 女性はいまこう思う。「名字が一緒になることでの夫婦の一体感はそんなに大事じゃない。夫婦別姓にできるなら、そうしたい」【スタンダードコース|デジタルのみ】今なら4カ月間月額200円で読み放題/再入会は500円!詳しくはこちら【ダブルコース半年割|宅配購読者限定】今だけ超特価!はじめの4カ月間は月額100円!詳しくはこちら関連トピック・ジャンル関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ3月8日 (日)台湾の行政院長が異例の来日「イランは無条件降伏を」現れた「WBC警察」3月7日 (土)イラン指導者選び 「関わる」日本生命、オープンAIを提訴選抜高校野球 組み合わせ決定3月6日 (金)「カイロス」 打ち上げ失敗「台湾独立勢力に打撃与える」WBC開幕 日本きょう初戦3月5日 (木)旧統一教会に解散命令イラン情勢受け東証3日続落米軍、エクアドルで軍事作戦トップニューストップページへ台湾の行政院長、なぜ訪日? 中国の受け止めは… 4つのポイント0:15イラン女子サッカー代表、豪で国歌拒否 「制裁」懸念し保護求める声0:00最高指導部入りへ「安全運転」 全人代、有力地方トップ4人の言動は8:00鈴木誠也は2アーチで終わらない 「大谷だけには背負わせない」決意23:15私はタガレンジャー、6歳娘の志 馬鹿にされても駆けた家族の14年8:00「性的同意、必要?」大学生が同世代に聞いた 高校でもゲームで学ぶ7:00