将棋の福間香奈清麗、棋士編入試験の再挑戦「前向きに検討」

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2度目の棋士編入試験の受験資格を獲得後、思いを語る福間香奈清麗=大阪府高槻市の関西将棋会館で2025年10月6日、新土居仁昌撮影 大阪府高槻市の関西将棋会館で6日にあった第67期王位戦予選で浦野真彦八段(61)に勝ち、直近の公式戦の成績を10勝5敗として2度目の棋士編入試験の受験資格を獲得した福間香奈清麗(33)=女流6冠=が、終局後に報道各社の取材に応じ、再受験について「(体調を含め)自分の中では充実しているので前向きに検討したい」と述べた。 編入試験は、若手の四段棋士5人と対局して3勝すれば棋士(フリークラスの四段)になれる制度で、福間清麗は1度目の試験は初戦から3連敗して不合格に終わった。再受験して合格すれば、「女流棋士」とは別の、史上初の「女性棋士」誕生となる。Advertisement 主なやりとりは次の通り。 ――受験資格を獲得したことをどのようにとらえているか。 ◆(獲得条件である6割5分以上の)勝率を上げることができて、すごく充実感があります。そういうところに達することができてよかったと思っています。 ――今の時点では受験するかどうかは決めていないのか。 ◆(女流の)タイトル戦と並行してやっていかないといけないし、出産を経て、家のことと対局の両方を現実的にやっていけるのかどうかというところをまず考えないといけないので、今回は私の気持ち一つで受けるかどうかはまだちょっと分からない。体調面でこなせるかどうかというところを考慮して決めたいと思っています。 ただ、自分の中では充実しているので、前向きに検討はしたいですけど、本当にやっていけるのかどうかというところだけですかね。 ――充実しているということだが、総合力という部分で、1度目の受験の時と比較してどうか。 ◆精神的に強くなれたかなと思う部分はある。一方で、棋力の点では、妊娠と出産の期間は将棋の勉強ができなかったので、そのあたりのバランスを取るのは非常に難しいところかなとは思っています。1年近くまともに勉強できなかったので、力が落ちていると感じます。 ――現時点では受験は現実的ではなくて、来年、再来年にチャンスがあればというところか。 ◆いや、今の環境でやっていけるかどうかというところを自分で考えて、未来の話ではなく、今回の件に関してしっかり検討して、悔いのない選択をできたらと思っています。2度目の棋士編入試験の受験資格を獲得後、思いを語る福間香奈清麗=大阪府高槻市の関西将棋会館で2025年10月6日、新土居仁昌撮影 ――家族など、周囲の意見やアドバイスと考えが違う場合は検討期間が長引くこともあるか。 ――いや、周囲というか、自分自身がこなせるかどうかというところなので、そのあたりを考えようと思っています。 ――前回、不合格に終わった時、「ひょっとしたらこれが最後になるかもしれない」とコメントしていたが、あれから約3年たち、心境の変化はあるか。 ◆心境の変化はあまりないが、やっぱり将棋をする上で、強い方と指すことが一番の醍醐味(だいごみ)だと思っているので、そういう方々と戦いたい気持ちが強いですかね。 ――受験の申請期間は資格獲得から1カ月だが、どれくらいで答えを出そうと考えているか。 ◆本当に自分でも分からないですけど、早く固めたいところはあります。ただ、対局が結構続いているので、すぐ決めるかどうかは分からないです。 ――出産後も好成績を保っている秘訣(ひけつ)は何か。 ◆幸運な勝利もありますが、単純に、出産してからは家族の支えがないと対局自体ができないので、感謝というところで、将棋への向き合い方が変わってきたのかなと思います。今までは自分のために頑張ってきていたんですけど、子どもが生まれたことで家族のためという気持ちにもなれているので、そういう心境の変化もあるのかなと思います。 ――編入試験の制度に関し、サポートで望むことはあるか。 ◆編入試験の対局をするにあたって、十分な準備期間が得られるような日程で受けられたらなと思っています。【新土居仁昌】