車か生活保護か…社会通念が生む選択 識者語る「劣等処遇」の異常さ

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有料記事聞き手・奈良美里2025年10月10日 9時00分岩本菜々さんのコメント花園大学の吉永純教授=2025年3月4日、京都市中京区、奈良美里撮影 生活保護制度で、自動車は「資産」とみなされ、原則として処分が求められています。なぜなのでしょう。 自治体でのケースワーカーなども務め、40年以上生活保護の現場に関わってきた花園大学の吉永純教授(公的扶助論)に話を聞きました。 ――なぜ、車は原則として処分が求められるのでしょうか 半世紀前の国の通知によるものです。もともと生活保護利用者には、車の保有は認められておらず、1970年代に身体障害者が通勤用に使う車が初めて部分的に認められました。この時に現行通知の骨格ができて以来、原則保有を認めない運用は変わっていません。 ――半世紀前ですか 生活保護制度では、地域で約7割の人が持っている物品を認める、というのが基本的な考え方です。冷蔵庫やエアコンもかつては認められていませんでしたが、冷蔵庫の処分を求められた母子家庭の心中事件(1966年)などもあり、認められてきた経緯があります。 自動車検査登録情報協会などのデータによると、自家用車の世帯当たり普及台数は、半世紀前の0.475台から、2023年には1台を超えて倍以上になっています。特に地方では乗用車保有率は8割超。車は生活の必需品となり、人々の「足」となっています。抱っこひもで次女を抱え、交通量の多い国道沿いを歩く女性=2025年2月、東北地方、小玉重隆撮影 それなのに、車は「地域の普及率の如何(いかん)に関わらず原則的に保有を認めない」と自治体が参照する事例集に書いてある。時代の変化に対応していないのは明らかです。「社会通念」ではなく客観的数字を ――地方で「車は私の足」という当事者の声を聞きました 公共交通機関の衰退が著しい地方における移動手段は、車しかありません。特に問題が深刻なのは、地方のひとり親家庭です。 ひとり親の方が生活保護を利…この記事を書いた人奈良美里ネットワーク報道本部専門・関心分野人権、福祉、障害こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ10月10日 (金)ガザ停戦へ合意 人質解放へ香淳皇后実録を公開ノーベル賞にハンガリー作家10月9日 (木)ノーベル化学賞に北川進氏アサヒ障害めぐり犯行声明生成AIの安全基準を整備へ10月8日 (水)自民党、新執行部が発足ノーベル賞 米国の研究者らに万博「運営費」黒字の見込み10月7日 (火)ノーベル賞 阪大の坂口志文氏日経平均 初の4万8100円台田園都市線 列車同士が衝突トップニューストップページへイスラエル政府、ハマスとの合意内容を承認 ガザ戦闘、停戦発効へ8:00公明、連立離脱も辞さない構え 斉藤代表、高市総裁ときょう会談2:00くら寿司が万博で提供の「世界の料理」  閉幕後も全国店舗で販売へ7:00ノーベル文学賞のクラスナホルカイさん、経歴に書いた「井上和幸」7:00仏記者が首をかしげた自民総裁選 日本政治に討論する文化はないのか7:00オスロで「自分も話さねば」 秘められた思いは同行者の1年を変えた6:00