毎日新聞 2025/10/8 09:15(最終更新 10/8 09:15) 1356文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷蒔絵を施した笙を演奏する東野珠実さん(手前)の演奏を聴く小西紋野さん(右)=大阪市此花区で2025年6月6日、北村隆夫撮影写真一覧 青く輝く楽器から響く、優美な和音。輪島塗の蒔絵(まきえ)を施された雅楽器・笙(しょう)の演奏が、大阪・関西万博の会場で披露された。手がけたのは、石川県輪島市を拠点にしていた蒔絵(まきえ)師の小西紋野(あやの)さん(41)。2024年元日の能登半島地震で作業場が大きな被害を受けた。 今年の初夏、小西さんから笙の演奏家、東野(とうの)珠実さんの元へ、注文していた笙が届いた。包みを開くと、青い輝きが目に飛び込んできた。「美しい……」。出来上がった作品に、東野さんは目を細めた。頭(かしら)と呼ばれる椀(わん)状の部分には、優雅な曲線で唐草模様が施されている。竹製の管には、濃い青色の漆の上に、星座や、金の塗料を少しずつ重ねて生まれた星空が表現されていた。Advertisement 作品を手がけた小西さんは神奈川県出身で、政治学科の学生だった大学4年の頃、偶然見かけた蒔絵の実演に目を奪われた。大学卒業後に石川県立輪島漆芸技術研修所で学び、その後も輪島で研さんを積んだ。蒔絵を施した笙を手にする小西紋野さん=大阪市此花区で2025年6月6日、北村隆夫撮影写真一覧 2015年に、輪島塗の製造・販売を一括で手掛ける老舗の「塗師(ぬし)屋」の男性と結婚。しかし、能登半島地震に伴う火災で輪島市の中心部・朝市通りにあった夫の実家兼店舗と作業場は燃えてしまった。幼い子供2人を連れて神奈川県の実家へ避難した。 そんな折、旧知の音楽家が応援の意を込めてSNSに小西さんの手がけた蒔絵の指揮棒の写真を投稿。これに心ひかれたのが東野さんだった。 笙は息を吸ったり吐いたりすると、17本の竹管に付いた部品が振動して音が鳴る。「頭」の部分は漆塗りだが、竹管は素材そのものの色を保っているものが多い。東野さんは以前、すべてのパーツを黒の漆で塗った笙を作ってもらったことがあった。小西さんには「未来につながるような仕事をお願いできたらと思った」。音楽は一音一音をつないでできる星座のようなものという考えから、笙を夜空のように彩ってほしいとも伝えた。小西紋野さんが蒔絵を施した笙(右)と一般的な笙=大阪市此花区で2025年6月6日、北村隆夫撮影写真一覧 地震に伴う火災で長年使ってきた道具が燃えてしまい、まだ蒔絵を再開する想像ができなかったという小西さん。避難生活も続いていたが、挑戦を決めた。東野さんの演奏会にも足を運び、それまでに縁のなかった笙の音色に触れた。「ふわーっとした音が宇宙を連想させて、きれい。音が広がっていくイメージをデザインにも反映しよう」と考えた。 小西さんは生活拠点を石川県加賀市に移し、今年春から“復帰作”に取り掛かった。慣れない竹の素材で、蒔絵の下地に使う漆を乾燥させる湿度の調整に苦労しながらも、夜空のようなブルーの漆で全体を彩っていく。貝を使った螺鈿(らでん)の技法を生かし、管の部分にはいくつもの星座を描き込んで完成させた。 6月6日。大阪・関西万博の会場で、東野さんが「星筺(ほしがたみ)」と名付けた笙を演奏した。数十人が見守る中、演奏が始まると優しくも力強い音が静かなホールに伝わっていった。 小西さんもステージに上がり、作業の苦労を振り返った。「自宅の小さな部屋で作業していたものが、こんな大きな舞台で演奏してもらえるなんて感無量です」と笑う。東野さんは「1000年続く雅楽の精神を、目に見える形で表してもらえた。今後も思いの詰まった作品を多く生み出してほしい」と話し、今後の小西さんの活躍を願っている。【小坂春乃】【時系列で見る】関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>