小国綾子速報毎日新聞 2025/10/7 12:00(最終更新 10/7 12:00) 有料記事 3786文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷ブレイディみかこさん=和田大典撮影 女性同士の友情や連帯など「シスターフッド(sisterhood)」をテーマにした小説やドラマは大人気。一方、多様性やジェンダー平等への反発も社会に広がる。そんな中、英国で暮らす作家、ブレイディみかこさんは「シスターフット(foot)」を提唱する。それって何?【聞き手・小国綾子】価値観違う人に会い、他人の靴履いてみる――近著「シスター“フット”エンパシー」で「シスターフット」を提唱しています。「フッド」ではなく「フット」とは、どういう意味ですか。 これは雑誌連載のコラムの題名で、編集部がつけてくれました。シスターフッドは女性解放運動のスローガンにも使われてきた「女性同士のつながり」「闘う女性たちの連帯」を意味する言葉です。 私は以前から「地べた」の目線を大事にし、「エンパシー=他者の靴を履いてみる能力」を唱えるなど、「フット(足もと)」にこだわってきました。異なる考えや価値観を持つ相手を、相手の立場で想像する力(エンパシー)を働かせ、顔の見える関係の中で「フット」、つまり足もとから連帯し、社会を変えていけないか――。「シスターフット」はそんな問題提起です。 連載コラムの第1回に、アイスランドのウイメンズ・ストライキを紹介しました。日本に帰国するたび、「日本のジェンダーギャップを解決するには?」とインタビューで質問されます。ならばジェンダー平等で1位独走中のアイスランドに学べばいい。私はアイスランドの話で、日本の女性たちを勇気づけたかったのです。「ほら、できるよ!」と。 1975年10月24日、アイスランドの女性たちは仕事や家事、育児を一切放棄し、ストライキを決行しました。女性の人口の9割が参加したそうです。――9割! 交流サイト(SNS)もない時代にどうやって? むしろSNSがなかったから、かも。女性たちは職場の同僚や子育て仲間など顔の見える関係の中、「ストライキに参加しよう」と一人一人説得して回りました。 私の行きつけの、英ブライトンのカフェの店長は、アイスランド出身の女性で、子どもの頃にこのストライキを経験しました。男女賃金格差に不満を漏らしていた祖母が、「クビになるかも」とストライキへの参加をためらった時、娘、つまり店長の母親は「今行動しないと、お母さんの孫やひ孫の世代も同じことになる。孫やひ孫のために行動しよう」と説得したそうです。 SNSはなくても、足で稼いで時間も手間もかけ、丁寧に説得をして回った結果が「9割」という数字につながった。いや、むしろSNSがなかったから、無駄な分断や対立もなかったのかもしれません。この話を聞いて「私たちはできる。だってやった人がいるんだから」と思いました。――女性は今も非婚/未婚/既婚、子あり/子なし、正規/非正規雇用など、さまざまに分断されます。 「女性はこうあるべきだ」「女性の椅子の数は限られている」という固定観念がある男性社会では、女性は分断されやすい。結婚や出産、労働をめぐる女性の対立や分断は、実は家父長制と強く結びついています。 SNS時代には、対立をあおる投稿の方が広く、速く拡散されるから、フェミニストたちも小さく分かれてとがっていきがちです。その分断を「フェミがまた内ゲバしてる」「女の敵は女」などと外から嘲笑する勢力がいる。小さな差異のせいで分かれるより、ごろっとした原初の怒りを共有し、つながりたい。「シスターフット」という言葉に、そんな祈りも込めています。 世界で今、極右政党や保守政党が、移民や性的少数者の権利拡大に否定的な意見を持つ女性をトップに置く例が目立ちます。女性を据えることでソフトでリベラルな印象効果も狙っているのでしょう。 女性の政治家や首相が増えることは、男女間の格差を埋めるためには必要です。日本のようにジェンダーギャップ指数の低い国では、特に政界のジェンダー平等は大切。しか…この記事は有料記事です。残り2184文字(全文3786文字)あわせて読みたいAdvertisementこの記事の筆者すべて見る現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>