ひとシネマ:78年後に描く韓国現代史の悲劇 「4・3事件」が問いかけるもの

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ひとシネマ毎日新聞 2026/4/1 19:30(最終更新 4/1 19:30) 1742文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷韓国映画「済州島四・三事件 ハラン」の一場面=©Whenever Studio 逃げる、隠れる、息をひそめる――。4月3日から日本で公開される韓国映画「済州島四・三事件 ハラン」が描くのは、米軍政下の1948年から済州島で続いた住民虐殺の中、必死に生き延びようとする母娘の息づかい、恐怖と沈黙だ。 韓国現代史の悲劇である「4・3事件」は、加害構造が重層的なため、韓国内で政治的論争が絶えない。この作品は、そうした保革対立から距離を置き、国家暴力の下で人々はどう耐え抜いたのか、当時の肉体的な感覚を、今を生きる私たちに刻もうとしている。Advertisement教科書に歴史を閉じ込めない 「海岸線から5キロ以上離れた山岳地への無許可通行を禁じ、違反者は暴徒とみなして銃殺する」 作品は48年10月、軍から出されたこんな布告文から始まる。済州全土での「焦土化作戦」に発展した史実に基づく設定だ。 国家によって「暴徒」の線引きが物理的に決められた。韓国の国家樹立過程で南側の単独政府樹立に反対して蜂起した「武装隊」を鎮圧するため、軍は本土から「討伐隊」を送り、「暴徒」とみなせばその家族は老人や赤子まで殺害した。海岸に残れば安全が保証されたわけでもない。韓国映画「済州島四・三事件 ハラン」のハ・ミョンミ監督=©Whenever Studio 「4・3事件について、教科書の中に閉じ込められた出来事としてではなく、国家暴力がどんなふうに人々の生活に踏み込んでいったのか、伝えたかった」。ハ・ミョンミ監督は、山中をさまよう母と6歳の娘に焦点を当てた狙いをこう語る。2013年から済州に移住し、生の声を聞いて歩いた。記憶をたどる時、重い雰囲気がたびたび流れたという。「教科書」に書かれていない感覚とは、その沈黙の重みなのだろう。抗争した側にも住民虐殺の記録 事件の真相究明と犠牲者の名誉回復のための「済州4・3特別法」に基づき03年に発表された真相調査報告書によると、事件前に起きた47年3月1日の警察による発砲事件から54年9月21日の山岳部への禁足令解除までの7年半あまりで、調査委への死亡申告は1万4000人余に上った。しかし、一家全員が殺害された事例や行方不明者が多いため、報告書は死者が2万5000~3万人に上ると推計している。韓国映画「済州島四・三事件 ハラン」の一場面=©Whenever Studio 加害者不明の事件(9%)を除けば、軍の「討伐隊」による殺害が86・1%、蜂起した「武装隊」による殺害が13・9%。国家暴力の構造は明らかだが、武装隊の加害も無視できない。報告書には、武装隊が討伐隊への協力を理由に、村を丸ごと焼き打ちにしたとの報告もある。「抗争史」という言葉だけでは収まりきらない闇が、島の隅々に折り重なっている。 映画は、こうした複雑さから目をそらさない。武装隊内部の亀裂も、討伐隊内部で起きた虐殺への抵抗も描いた。討伐隊兵士の葛藤を掘り下げれば、「殺害はどっちもどっち」という相殺論にからめ捕られる危うさはある。それでも、加害行為に至る前の一人一人の葛藤に光を当てることを通じて、国家暴力を未然に防ぐ人間の力、あるいは最小限に食い止める可能性が人間の内面に本来存在していると訴えようとしたのではないだろうか。 実際、韓国南部の麗水(ヨス)などでは48年10月、済州への出動命令への反発から武装蜂起が起きた。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領(当時)が突然宣言した24年12月の非常戒厳では、国会に銃を向けた兵士たちの中に「積極的な非協力」があったことを私たちはテレビの生中継で目撃した。映画が問いかけるものは 事件を今に伝える「済州4・3平和記念館」の展示室入り口には、名前の刻まれていない「白碑」が横たわっている。4・3事件と数字で呼ぶ以外に、今も正式名称がない現状を示す碑だ。韓国政府が国家暴力として謝罪しているので「暴動」や「鎮圧事件」ではないだろう。では、何と呼ぶべきか。「虐殺」「抗争」「闘争」……当時の立場や政治的見解によって異なり、まとまらない。韓国映画「済州島四・三事件 ハラン」の一場面から、山岳地にこもる武装隊=©Whenever Studio この映画から論争の結論は導き出せない。むしろ、論争をいったん手放し、見た人の内面に問いを投げかけている。あなたがあの場にいたら、どう生き抜くか――。【堀山明子】 映画「済州島四・三事件 ハラン」は4月3日より東京のポレポレ東中野のほか、全国順次公開予定。2日には神保町の韓国専門書店「チェッコリ」で監督を招いたトークが行われる(オンライン参加も可)。【時系列で見る】【前の記事】名手・木村大作さん 「港のひかり」に刻む能登の景色と復興への願い関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る1時間24時間SNSスポニチのアクセスランキング1時間24時間1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>