毎日新聞 2025/11/18 08:15(最終更新 11/18 08:15) 1486文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷1944年、宇都宮陸軍飛行学校で特別操縦見習士官らを指導する清水千波(中央)教え子にも自身にも特攻要員の募集がかけられた=愛媛県歴史文化博物館蔵 「フェリー(航空機空輸)パイロットには、孤独と恐怖に堪(た)える精神力と、窮屈さに耐える体力が必要ですが、何より大切なのは、飛行機に限りない愛着と深い理解を持ち、飛ぶことが愉(たの)しくて仕方のない人間でなければならないということです」。愛媛県出身の清水千波(せんぱ)(1908~87年)。戦中から戦後へ、75歳まで操縦かんを握った大空の一生が同県歴史文化博物館(西予市)で展示されている。チャンドラ・ボース乗せ飛行 清水は宇和町(現西予市)生まれ。父は町長を勤め、「現存する木造校舎の廊下では日本一長い」とされる宇和町小学校校舎(現宇和米博物館)建築に尽力した清水伴三郎(ばんざぶろう)だ。同志社大を卒業後、1937年に陸軍飛行兵を志願し、操縦士となった。爆撃機を操縦して中国から東南アジアを転戦。43年にはインド独立運動家のチャンドラ・ボースやビルマ(現ミャンマー)国家元首のバー・モウらをパイロットとして東京に送り届ける特務を担ったとされる。大東亜共栄圏建設をうたった当時の日本政府が東京で開いたアジア地域首脳会議「大東亜会議」の出席者だ。Advertisement1961年、スウェーデン・ストックホルムへの飛行を同僚と準備する清水(左)=愛媛県歴史文化博物館蔵特攻、やり場ない怒りも 飛行技術を磨き続け、戦争末期の44年には宇都宮陸軍飛行学校教育隊長に。戦時下の特例で大学や専門学校の学生・卒業生の志願者を陸軍が選抜した「特別操縦見習士官(特操)」の指導に当たった。生還を期さぬ体当たり攻撃「特攻」の要員募集通知が同年にあり、部下の物静かな若い少尉が志願を告げに来た。「なぜ志願するのか」「自分たちのような未熟者が、お国のために役立つとしたら、このような機会はまたとないと思ったからであります」。清水は部下の願書と一緒に、自身についても「(特攻要員を)熱望す」と記した願書を提出した。(著書「フェリー・パイロット」より) 45年1月、かつて指導した12人の若い少尉を戦闘機「隼(はやぶさ)」でフィリピンまで誘導した。その全員が隼で体当たり特攻を遂げたことを直後に新聞で知ることになる。やり場のない怒り。眠れぬ夜が続いたという。再び空へ現役最年長パイロットとして表彰された2年後の1986年にも操縦席で元気な姿を見せた清水。「楽しく仕事をすると疲れを感じないのが人間」と語った=愛媛県歴史文化博物館蔵 現在のベトナム・サイゴンで終戦を迎えた。旧九七式重爆撃機を改造し、終戦連絡事務処理のために緑十字マークを付けた輸送機で東南アジアを巡回。降伏の手続きや、まだ投降していない部下の説得に当たった。戦後、日本の航空業界はGHQ(連合国軍総司令部)により活動を禁止され、清水も在日米軍自動車修理工、運転手などの日々を送る。民間パイロットの免許取得が可能になった翌年の53年、定期運送用操縦士の免許を得た。現役最年長パイロット 生産された航空機をメーカーから顧客に届ける「フェリー・パイロット」が主な役割に。58年に伊藤忠商事傘下の大和航空に入社し、61年には同社が全日空の委託を受け、パイロット養成のための訓練部長にも指名された。同年には軽飛行機による北大西洋横断飛行に日本人で初めて成功した。 66歳となった74年には「現役最年長パイロットとして単独で軽飛行機を操縦して太平洋を翔破(しょうは)」したことをたたえられ、日本航空機操縦士協会から特別功績章を贈られた。清水が色鉛筆で描いた陸軍戦闘機「疾風(はやて)」。「私の経験した飛行機の中で一番スピードが出る飛行機だと思った」と記している=愛媛県歴史文化博物館蔵 ◇写真などを展示 愛媛県歴博は遺族から贈られた写真、清水が描いた色鉛筆画などの資料を2026年1月22日まで「フェリー・パイロット清水千波」としてコーナー展示している。企画した安永純子・主任学芸員は「戦中、戦後の厳しい時代にも飛行を続け、教え子にも深く愛された情熱あふれる人生を感じ取っていただければ」と話す。 問い合わせは同館(0894・62・6222)。【松倉展人】【時系列で見る】関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>