82歳のコメ作り先生が考える農家の未来 戦後の農政経て伝えたいこと

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毎日新聞 2025/11/18 10:15(最終更新 11/18 10:15) 1410文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷稲刈りの合間に農業情報誌「農村通信」を手に取材に応じる松浦一宇さん=山形県庄内町で2020年9月28日午後1時0分、長南里香撮影 全国有数のコメどころである山形県庄内町に、82歳の「コメ作り先生」がいる。農業情報誌を手掛けた出版社の元社長で、今も現役で後進の育成に情熱を注ぐ松浦一宇(いちう)さんだ。戦後の大増産から一転の減反や米騒動などの経験を踏まえ、未来を担うコメ農家への思いを聞いた。【聞き手・長南里香】 ――コメ作りとの関わりは。 ◆10代で家業を継ぎ、2ヘクタールで耕作した。20代の時に川西町の篤農家を訪ね、株元が濃緑の見事な稲に衝撃を受け、独自に研究するようになった。栽培を工夫し土作りに取り組み、30歳で10アール当たり750キロの収穫量を上げた。経営規模を20ヘクタールまで拡大し、80歳を機に息子にバトンタッチした。Advertisement 第一線は退いたが、地域の若手が3年かけて稲作技術を学ぶ勉強会「稲株(とうしゅ)塾」の講師陣に加わっている。 ――コメ価格の高止まりが続いています。 ◆5キロ約4300円は農家が(農協などに)売り渡している価格ではなく、実際の手取りはもっと少ない。だが、消費者側からすればやはり高いのだろう。農家の立場では、これまでの下落傾向で収入減に苦悩し、現在も肥料や資材、機械などの高騰に困っているので「こんな時がなければ農業をやっていられない」という声も漏れる。ただ、それでも離農に歯止めがかからないのが現実だ。 ――なぜでしょうか。刈り取り最盛期の庄内平野=山形県酒田市で2025年9月19日午前10時26分、長南里香撮影 ◆トラクターやコンバインなどの農業用機械が高騰し、小さい農家は買い替えが困難になり、廃業する理由の一つになっている。大規模農家にとっても頭の痛い問題だ。 設備投資の負担が増えつつある一方で、何より私が訴えたいのは、若い人たちがコメ作りに夢が持てるような中長期のビジョンを国から示してもらわないと駄目だということだ。日本の主食はコメだとして、国がどう責任を持って農家に生産させていくかを早急に示してほしい。 ――戦後の農政80年は目まぐるしく変化してきました。 ◆悲しい歴史の連続だ。終戦後の増産時には農家が収穫量を競い合い、庄内平野で10アール当たり903キロ収穫する名人もいて農村に活気があった。 一転してコメが余るようになり国の赤字が膨らむと、農家が悪者にされる雰囲気に変わったと感じた。減反政策が本格化すると、農村に元気がなくなっていった。それでも仲間たちと「世の中の風潮に惑わされず、技術を駆使して良質米を生産しよう」を合言葉にした。食味と多収、高品質の三拍子がそろった本道のコメ作りに打ち込んだから、作り続けてこられた。「若手農家が夢を持てるように」と語る松浦一宇さん=山形県庄内町で2025年11月4日午前11時40分、長南里香撮影 ――若いコメ農家に伝えたいことは。 ◆天気には勝てないが、栽培技術と土作りに力を入れれば天候不順の影響を軽減できるというのが私の持論だ。収穫量を抑えて食味を良くするブランド米を栽培する一方で、地域で培われた多収の技術に光を当て、(多収品種などでの)さらなる生産性向上につなげていく手もある。国内消費が先細る中、輸出を視野にコスト減と両立できれば、国際競争力を付けていくこともできるのではないか。 農業は独り勝ちではなく共存共栄の生業だ。希望を持った若手が切磋琢磨(せっさたくま)し、地方の農業を盛り上げていってほしい。松浦一宇(まつうら・いちう) 1943年生まれ。農業情報誌「農村通信」(2020年廃刊)を発行していた山形県酒田市の農業通信社の6代目社長を務めた。今年で19回目を迎える庄内町の「あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト」の発起人。あわせて読みたいAdvertisement現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>