三井新 西岡矩毅2025年11月19日 20時50分(2025年11月20日 0時32分更新)東京大学医学部付属病院=2025年11月6日、東京都文京区本郷7丁目、西岡矩毅撮影 メーカーから寄付金名目で賄賂を受け取ったとして、警視庁は19日、東京大学医学部付属病院(東京都文京区)の救急・集中治療科医師、松原全宏(たけひろ)容疑者(53)=東京都台東区=を収賄の疑いで逮捕し、発表した。 寄付金は研究や教育の充実が本来の目的だが、警視庁は一部が賄賂に当たると判断。警視庁は19日、医療機器メーカー「日本エム・ディ・エム」(東京都新宿区)元社員の鈴木崇之容疑者(41)=さいたま市=についても贈賄容疑で逮捕した。鈴木容疑者の部下で元社員の30代男性=埼玉県=も、任意で調べている。いずれの認否も明らかにしていない。 捜査2課によると、松原容疑者は、東大病院の医師として2021年9月と23年1月、同社が扱う大腿(だいたい)骨のインプラントの使用について便宜を図る趣旨で、同社側に現金計80万円を寄付させ、そのうち計約70万円相当の賄賂を受け取った疑いがある。鈴木容疑者は23年1月に現金を渡した疑いがある。収賄容疑で警視庁に逮捕された松原全宏容疑者が勤務していた東大病院=2020年2月、東京都文京区、嶋田達也撮影 国立大病院の医師は収賄罪の対象になる「みなし公務員」に当たる。松原容疑者は東大医学部卒業後に東大病院に採用され、同病院の救急・集中治療科に所属しながら、整形外科・脊椎(せきつい)外科の「外傷診チーフ」として骨折患者の手術などを担当。どの医療機器を使うかを決める立場にあったという。寄付金はパソコン購入に充てたか 捜査2課によると、東大に寄付をしようとする企業や個人は、具体的な寄付先や金額、目的を記した書類を提出する。学内での審査を経て、寄付金が送金されると、その一部は大学に差し引かれるが、約85%は医師ら個人が自由に使うことができたという。 松原容疑者のもとには、逮捕容疑を含めて同社など5社から16年12月~23年1月に振り込まれた寄付金約300万円があった。そのうち約150万円について、警視庁が使途などを調べている。東大病院の建物。医師が医療機器メーカーから現金を受け取ったとして逮捕された=2025年11月19日、東京都文京区本郷7丁目、西岡矩毅撮影 捜査関係者によると、松原容疑者は寄付金の一部について、親族へのプレゼントとして、米アップル社製のタブレットやパソコンを学内生協で購入する費用に充てていたという。 逮捕を受け、東大はホームページで「学生、保護者、患者の皆様をはじめ、多くの本学関係者にご心配をおかけしており、深くお詫び申し上げます。この事態を大変重く受け止め、全面的に捜査に協力してまいります。なお、本学としても事実関係を確認中であり、その結果を踏まえ厳正に対処してまいります」とするコメントを出した。 信用調査会社などによると、日本エム・ディ・エムは、1973年設立で東証プライム上場。整形外科向けの医療機器の開発や販売などを手がける。今年3月期の従業員数は538人、売上高は過去最高の約251億円だった(いずれも連結)。【11月25日まで】全記事が読み放題のコースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちらこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ11月19日 (水)日本生命、役員ら減給処分日経平均、5万円割り込む日中、平行線の主張11月18日 (火)日本と中国、局長級協議へ1年半ぶりのマイナス成長戦争死者 376万人と推計11月17日 (月)電気ガス補助 月2千円以上高市内閣支持率、69%暗号資産を金融商品に11月16日 (日)「非核三原則」見直し検討へ中国、日本渡航自粛呼びかけ東京都、宿泊税引き上げ検討トップニューストップページへ中国、日本の水産物輸入を事実上停止 答弁撤回拒否なら「対抗措置」21:36柏崎刈羽原発で秘密文書の管理不備 東電社員が無断で持ち出しコピー21:06東大病院医師の逮捕劇 「二つの事件」ひそかに追った警視庁捜査2課21:15卓球女子ダブルスの山田瑞恵、萌心ペアが銅メダル デフリンピック21:23「まるで災害級」瀬戸内海全域で養殖カキが大量死 原因は海の異変か19:50御厨貴さんが語る自民 「政治家は長期的視野を、刹那主義ではなく」18:00