朝日新聞連載深流Ⅸ 山上被告がいた場所記事有料記事2026年1月19日 5時00分【動画】A-stories 深流9 山上被告がいた場所 安倍晋三元首相銃撃事件の裁判では、山上徹也被告(45)が事件を起こすまでに立ち寄っていた場所が次々に明らかになった。 どこかで事件を防ぐ機会はなかったのか。記者が足を運び、人に会い、話を聞いてみた。 まず歩いたのが、被告が作った手製銃にまつわる現場だ。隣人の気配を感じられる市街地から取材を始め、誰もいない山の中にたどり着いた。 ◇ 《被告は事件の十数年前から、奈良市の近鉄新大宮駅から歩いて7分ほどのワンルームマンションで暮らしていた。住宅と店舗が混在する地域にあり、家賃は月3万5千円ほどだった》 ◇ 隣の部屋に住んでいたのは60代男性。2022年7月の事件当初、記者の取材に対し「ここ1カ月くらいで何回か、ノコギリのような音が30分から1時間くらい聞こえた。何を作っているんかなあと思っていた」と話していた。事件当時、山上徹也被告が住んでいたマンションの部屋。管理会社によると、現在は空き室だという=2025年12月12日午前10時34分、奈良市内、黒田陸離撮影 ◇ 《裁判では21年の夏か秋から、被告がハンドドリルや万力を使ってここで銃を作り始めたと明かされた。家宅捜索では、銃6丁と黒色火薬2.2キロが見つかった。床には物が散乱していたといい、銃器担当の刑事は「テロリストのアジトのように感じた」と証言した》 ◇事件当日、山上徹也被告の自宅マンションに家宅捜索に入る準備をする奈良県警の機動隊員ら=2022年7月8日、奈良市、市原研吾撮影 裁判が続いていた25年11月、記者は被告の部屋の真下に住む男性(64)に話を聞きに行き、室内を見せてもらった。 男性は事件前、管理会社から「騒音注意」のチラシが配られたのを覚えていた。 「こんな狭いところが『アジトのよう』なんて。自分に何ができたか考えたこともあるけど、もし音が聞こえたとしても、銃を作っているなんて思わないやん」事件当時、山上徹也被告が暮らしていたマンションの階下の部屋。住人男性は「こんな限られたスペースで銃を作っていたなんて信じられん」と話した=2025年11月13日、奈良市、市原研吾撮影 管理会社によると、被告が住んでいた部屋はリフォームを終えているが、空室のままだ。 ◇ 《「黒色火薬の製造のためだけにわざわざ借りた」。検察側が裁判でこう指摘した別のワンルームマンションが奈良市郊外にある。21年3~9月、自宅とは別に借りていた。被告は「住居が非常に物が多かったので十分にスペースがなかった」と説明。家賃は月2万7千円ほどだった》 ◇ 行ってみると、事件現場の近鉄大和西大寺駅前から歩いて20分ほどの場所だった。 1階は住宅とテナント、2階以上は住宅になっていた。住人やテナント用の駐車場もあった。山上徹也被告が火薬の製造などのために借りていたマンション=2025年11月18日午前10時12分、奈良市、甲斐江里子撮影 被告が借りていた部屋の階下に10年近く暮らす男性(81)は「えっ、山上被告がいた? 初めて聞いたわ」と驚いた。自室も見せてくれた。「怖いわ。でも、こんなちっちゃな部屋で作業できるんかいな」 住人同士の付き合いはあまりないという。「どんな人がいるかわからんし、その人が何しているかなんてましてわからん」山上徹也被告が2021年3~9月に借り、火薬を置いていたマンションの別の部屋。住人の男性は「一人暮らしの住人間の交流はほぼないからわからんよね」=2025年11月13日、奈良市、市原研吾撮影 ◇ 《被告は21年11月~22年3月には、奈良市内の住宅街にあるシャッター付きガレージを借りていた。賃料は月1万5千円ほどだった。ここで火薬をこねたり干したり乾燥させたりしていた》 ◇ 被告宅からは車で10分もかからない。近くにはコンビニもあり、車の通りも多い。 1区画を借りている男性(76)に話を聞き、中を見せてもらった。 全部で約20区画あり、それぞれ普通車1台が入る大きさ。採光用の小窓があるが、電灯はない。隣の区画とは薄い金属板で仕切られていた。 男性は毎日、車を出し入れしている。「臭いを感じたことはないし、まさか住宅街で火薬を作っていたとは」山上徹也被告が借りていたのと同じつくりのガレージ=2025年11月13日午前11時40分、奈良市、甲斐江里子撮影(画像の一部を加工しています) 火薬製造で一番危険なのはどの工程か。 銃器評論家の津田哲也さん(66)に聞くと、「混ぜるとき」と即答。静電気で発火しやすいのだという。 ◇ 《その危険な作業は「人けのない広い駐車場」で行われた。選んだ理由を問われた被告は「万が一爆発したときに被害が出ない」。作業は夜。長いときで12時間以上も混ぜた》 ◇いくつかの「拠点」を構えながら、誰にも気づかれずに手製銃の完成に近づく山上被告。安倍氏を撃つ前、その威力を試すため何度も訪れた山がありました。取材で場所を突き止めた記者が記事の後半、動画でリポートします。 そこは約300台を収容でき…安倍晋三元首相銃撃事件2022年の安倍晋三元首相銃撃事件で起訴された山上徹也被告の裁判は、26年1月21日に判決が言い渡されます。関連ニュースをまとめてお伝えします。[もっと見る]関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ1月19日 (月)グリーンランド求め追加関税大学入学共通テスト 日程終了NHKのど自慢 きょう80年1月18日 (日)阪神・淡路大震災31年フジテレビ問題1年 進む改革新党「食料品の消費税ゼロ」1月17日 (土)顧客500人から着服など31億円大規模運休、夜間工事が原因衆院選「立候補せず」相次ぐ1月16日 (金)立憲と公明、新党結成で合意維新、兵庫県議ら6人除名軽井沢のバス事故から10年トップニューストップページへグリーンランド割譲要求「愚かさ言い尽くせぬ」 米国内でも異論噴出13:10欧州8カ国が声明「関税の脅しは関係損なう」 トランプ氏に対話訴え23:55「急に難しく」なった共通テスト・情報Ⅰ 受験生「予想外だった」21:15立憲・原口一博衆院議員、中道改革連合に入らず 政治団体から出馬へ20:26山上被告は火薬を12時間混ぜ、山で銃を何度も撃った 記者が訪ねた5:00列車が来なくても、売り切れる駅弁 褒め言葉に変わった「田舎料理」10:00