2025.09.23山田和昭(日本鉄道マーケティング代表、元若桜鉄道社長)tags: KK線, 御堂筋, 新宿駅, 道路, 鉄道, 首都高全国で車道を縮小するなどして歩行者空間を整備する動きが相次いでいます。なぜクルマを不便にするのでしょうか。ひとつには、その方が「儲かる」からです。続々と生まれる歩行者空間 新宿駅西口で2025年9月27日、大規模な道路切り替えが行われる予定です。駅前広場に歩行者空間を整備するため、駅前の南北を自動車が通り抜けできなくなります。東京都はこれを「歩行者中心の新宿駅に向けたファーストステップ」としています。銀座のKK線を通行止めにした歩行者イベントの様子。その後2025年4月にKK線は廃止となった(乗りものニュース編集部撮影) このように車道を縮小するなどして歩行者空間を整備する動きは全国で相次いでいます。今まで便利に自動車で通行できていた道路を、なぜわざわざ塞いで歩行者空間にするのでしょうか。 大阪の御堂筋は2024年11月に一部の側道2車線が歩道化されました。2037年までには全ての車線を歩道にし、“フルモール化”する計画もあります。2025年4月には東京で首都高と通じる銀座の東京高速道路(KK線)が廃止されましたが、これも今後、高架の歩行者空間となる予定です。こうした動きは国交省も「ウォーカブルなまちづくり」施策によって全国で推進しています。 流れが大きく変わったのは、京都の中心部、四条通が10年をかけて2015年に車道を減らし歩道を広げた件と思えます。地元商店街からの要望があったとはいえ、賛否両論でした。 決め手は、自動車で来る人よりバスで来る人の購買金額が大きいことでした。また、道路を走る自家用車に対して、歩道を歩く歩行者数が圧倒的に多く、少数の自動車利用者と多数の歩行者の間で面積配分が不公平であることも指摘されていました。自動車は占有面積が大きく、人の密度も下がってしまうので、来店者数にも影響するのです。実はわかっていた?「歩かせる商い」 実は、歩くことで商いが繁盛する原理はすでに実証されています。一番わかりやすいのは郊外のショッピングモールです。 自動車利用者を相手に商売をしているのですから、全てドライブスルーにすれば便利なはずです。しかし実際は、駐車場にクルマを停めさせて、広大な施設内を歩かせます。歩いてお店に入り商品を見たり触れたり、買っている他の人を見たりして、購買意欲が高まるのです。楽しく快適に歩けて、ベンチで休みカフェで一服できれば、歩くことは苦になりません。 そう考えると、東京の賑わっている商店街はクルマが入りづらく歩行者が道に溢れていることに気付きます。東京では吉祥寺、戸越銀座、下北沢などが挙げられます。賑わう商店街は歩くと楽しい街なのです。【次ページ】車道を狭めて「商店街復活」【衝撃…!】6車線道路→「完全歩道化」のイメージ 大阪のど真ん中(画像)